1934年にプラハに生まれたヤンは戦闘的なシュルレアリストのアーティストとして活躍、64年より短編のアニメーション制作を開始。以降、人形アニメ、クレイ(粘土)アニメ、実写アニメなど様々な手法を駆使して30数本の長短篇の作品を発表した。その1作1作はラジカルな精神に裏打ちされ、美学的にも政治的にも革新的で、カンヌ、ベルリン、オーバーハウゼン、アヌシー映画祭など世界各地で高い評価を獲得、多くの影響を世界のアーティストに与えて続けています。豊穣な魅力とめくるめく刺激に満ちた作品群をご覧ください!

上映作品●1964年に作られた最初のアニメーション作品『シュヴァルツェヴァルト氏とエドガル氏の最後のトリック』から、2000年の長編劇映画『オテサーネク』まで長編劇映画4作品を含む長短篇32作品を7プログラムに分けて上映。
http://www.imageforum.co.jp/svank/

Aプロ:『オテサーネク』(’00/127分)
Bプロ:『悦楽共犯者』(’96/83分)
Cプロ:『ファウスト』(’94/96分)
Dプロ:『石のゲーム』(’65)、『肉片の恋』(’89)、『フローラ』(’89)、他8作品計79分
Eプロ:『アリス』(’88/85分)
Fプロ:『対話の可能性』(’82)、『男のゲーム』(’88)、他8作品計90分
Gプロ:『エトセトラ』(’66)、『アッシャー家の崩壊』(’80)、他6作品計89分
Hプロ:『庭園』(’68)、『家での静かな一週間』(’69)、他6作品計91分

上映時間●
7/17土〜7/19月 11:00〜A/13:30〜B/15:30〜A/18:00〜B/20:00〜A
7/20火〜7/22木 11:00〜C/13:00〜D/15:00〜C/17:00〜D/19:00〜C
7/23金〜7/25日 11:00〜E/13:00〜F/15:00〜E/17:00〜F/19:00〜E
7/26火〜7/28水 11:00〜G/13:00〜H/15:00〜G/17:00〜H/19:00〜G
7/29木〜7/31土 11:00〜B/13:00〜A/15:30〜B/18:00〜A/20:30〜B
8/01日〜8/03火 11:00〜D/13:00〜C/15:00〜D/17:00〜C/19:00〜D
8/04水〜8/06金 11:00〜F/13:00〜E/15:00〜F/17:00〜E/19:00〜F
8/07土〜8/09月 11:00〜H/13:00〜G/15:00〜H/17:00〜G/19:00〜H
8/10火〜8/11水 11:00〜B/13:00〜C/15:00〜D/17:00〜E/19:00〜A
8/12木〜8/13金 11:00〜F/13:00〜G/15:00〜H/17:00〜B/19:00〜A

・・・毎週土曜日、ゲストを招いてトークショーを実施

7月17日(土)18:00〜吉野朔実さん(漫画家)
7月24日(土)19:00〜山村浩二さん(アニメーション作家)
7月31日(土)18:00〜 未定
8月 7日(土)19:00〜赤塚若樹(チェコ文学)

※入場無料。その回の上映をご覧になる方のみ参加出来ます。
会期●2004年7月17日(土)〜8月13日(金)の4週間
入場料金●当日一一般・学生1,200円/小人・シニア・シアター会員1,000円
前売1回券1,000円※劇場受付とチケットぴあで発売
前売3回券2,700円/フリーパス券5,000円※劇場でのみ発売。フリーパス券をお求め
提劇宣企
の方は先着200名様にシュヴァンクマイエル・ポスタープレゼント!
提供●レンコーポレーション+ユーロスペース+チェスキー・ケー+ザジフィルム
会場●渋谷シアター・イメージフォーラムTel.03-5766-0114

【上映作品】
Aプロ(127分)
『オテサーネク』監督・脚本:ヤン・シュヴァンクマイエル/ヤン・シュヴァンクマイエル/出演:ヴェロニカ・ジルコヴァー、ヤン・ハルトゥル/2000年/長編劇映画/127分/カラー/チェコ+イギリス/PG-12/ベルリン映画祭受賞
Bプロ(83分)
『悦楽共犯者』監督・脚本:ヤン・シュワンクマイエル/音楽:ブラザーズ・クエイ/出演=ペトル・メイセル、ガブリエラ・ヴィルヘルモヴァー/1996年/長編劇映画/83分/カラー/チェコ+イギリス+ドイツ/ロカルノ映画祭受賞
Cプロ(96分)
『ファウスト』監督・脚本:ヤン・シュワンクマイエル/出演:ペットル・ツェペック、ヤン・クラウ/1994年/96分/長編劇映画/カラー/チェコ/チェコ映画祭受賞
Dプロ(合計79分)
『石のゲーム』1965年/9分/カラー/オーストリア映画祭受賞『ワイズマンとのピクニック』1969年/11分/カラー
『アナザー・カインド・オブ・ラブ』1988年/4分/カラー
『肉片の恋』1989年/1分/カラー
『フローラ』1989年/0.5分/カラー
『スターリン主義の死』1990年/10分/カラー
『フード』1992年/17分/カラー
『プラハからのものがたり』1994年/26分/カラー
Eプロ(84分)
『アリス』監督・脚本:ヤン・シュヴァンクマイエル/原作:ルイス・キャロル/出演:クリスティーナ・コホウトヴァー/1988年/84分/長編劇映画/カラー/スイス+ドイツ+イギリス/アヌシー映画祭受賞
Fプロ(合計90分)
『自然の歴史(組曲)』1967年/9分/カラー/クロムニェジーシュ映画祭、オーバーハウゼン映画祭受賞
『部屋』1968年/13分/モノクロ/映画祭、ブリュッセル映画祭、オーバーハウゼン映画祭受賞
『対話の可能性』1982年/12分/カラー/ベルリン映画祭、アヌシー映画祭、メルボルン映画祭受賞『地下室の怪』1982年/15分/カラー/オーバーハウゼン映画祭受賞
『陥し穴と振り子』1983年/15分/モノクロ
『男のゲーム』1988年/15分/カラー
『セルフポートレート』1988年/2分/カラー
『闇・光・闇』1989年/8分/カラー/ベルリン映画祭、クラクフ映画祭、ザグレブ映画祭受賞
Gプロ(合計89分)
『棺の家』1966年/10分/カラー/マンハイム、クロムニェジーシュ映画祭受賞
『エトセトラ』1966年/7分/カラー/カルロヴィ・ヴァリ映画祭、オーバーハウゼン映画祭受賞
『ドン・ファン』1970年/33分/カラー/クロムニェジーシュ映画祭受賞
『コストニツェ』1970年/10分/モノクロ
『レオナルドの日記』1972年/12分/カラー
『アッシャー家の崩壊』1980年/16分/モノクロ/クラクフ映画祭、ポルト・ファンタジー映画祭受賞
Hプロ(合計91分)
『シュヴァルッェヴァルト氏とエドガル氏の最後のトリック』1964年/12分/カラー/マンハイム映画祭受賞
『J.S.バッハーG線上の幻想』1965年/10分/モノクロ/カンヌ映画祭受賞
『庭園』1968年/17分/モノクロ/ヴェネツィア映画祭受賞
『家での静かな一週間』1969年/20分/カラー&モノクロ/オーバーハウゼン映画祭受賞
『ジャバウォッキー』1971年/14分/カラー/映画祭、アトランタ映画祭受賞
『オトラントの城』1973〜79年/18分/カラー&モノクロ
【監督紹介】
ヤン・シュヴァンクマイエル Jan Svankmajer
伝統的に人形劇、映像を取り入れたパフォーマンス・シアターであるラテルナ・マギカの盛んなチェコ・スロヴァキア(現在、チェコ共和国)だが、それに伴いイジィ・トルンカ,カレル・ゼマン,ヘルミーナ・ティールロバーなどを世界に輩出したアニメーション王国でもある。
ヤンは1934年、プラハに生まれる。ラテルナ・マギカなど数々の劇場で舞台美術家・演出家として活躍した後、1964年クラートキー・フィルム・プラハ(トルンカスタジオ)で、オブジェクトアニメ(人形・粘士・日用品などを使った立体アニメ)を撮り始める。
最初の作品は『シュヴァルツェヴァルト氏とエドガル氏の最後のトリック』(64年)。ルドルフII世にオマージュを捧げた『自然の歴史』(67年)や、アルチンボルド的な素材や粘土(クレイ)の動きが圧倒的な存在感を示す『対話の可能性』(82年)など、数々の優れた短編を撮り、当時の共産党政権下でブラックリストにのりながらも(1968年の『庭園』は20年間上映禁止処分を受ける)、国外の映画祭で圧倒的な評価を受け、活動を続ける。
キートンのスラプスティックコメディやカフカ的不条理感に満ちた『部屋』(68年)、サッカー熱をモンティ・パイソンのテリー・ギリアムのような切り絵と粘上で表現した『男のゲーム』(88年)など、ブラックなユーモアも特徴的。
1987年、初の長編『アリス』を撮り、元ストラングラーズのヒュー・コーンウェルの『アナザー・カインド・オブ・ラヴ』(88年)のビデオクリップを撮るなど国外での活動の場も広がり、1989年のビロード革命後も、『ファウスト』(94年),『悦楽共犯者』(96年)と順調に長編を撮り続けている。最新作は『オテサーネク』(00年)は息子として育てた木の切り株が食べ物や動物や果ては両親までも飲み込んでいってしまうというチェコの民話を、『アリス』(87年)のように少女の視点から、現代の不妊の夫婦の物語として描くグロテスク・ユーモア溢れる傑作。
ヤン・シュヴァンクマイエルは戦闘的なシュルレアリストとしてチェコの伝統的な美学を継承しながらも独自の怪奇と幻想性を極限まで追求したアニメーション作家として、またアニメーションの技術を取り入れた独創的な劇映画作家として世界のアートシーンに大きな影響を与え続けている。
またその創造活動は映画にとどまらず、オブジェ、コラージュ、セラミックなどの美術造形作品を多数作り、画家であるエヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーとともに世界各地で大規模な展覧会を開催している。
今年で70歳になるヤンだが、最新の劇映画を準備中だと言う.

□公式サイト
http://www.imageforum.co.jp/svank/index.html