★第362回現代中国映画上映会
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●上映作品:劇映画《祝福》
 1956年北京映画制作所制作
 35mmカラー・スタンダード/日本語字幕スーパー
 100分
 原作:魯迅『祝福』原題:祝福
 監督:桑弧(サン・フー)
 脚本:夏衍(シァ・イェン)
 撮影:銭江(チェン・ヂァン)
 助監督:陳懐皚(チェン・ホァイアイ)
 美術:池寧(チー・ニン)
 主演:白楊(バイ・ヤン)、
    魏鶴齢(ウェイ・フーリン)、
    史林(シー・リン)、
    邸力(ディー・リー)、
    李景波(リー・ヂンボー)、
    李健(リー・ヂェン)、
    管宗祥(グァン・ゾンシァン)
●上映日時:1月24日(金) 午後6:55開始(午後6:35開場)
●上映会場:シビックホール(文京シビックセンター内=小ホール)
       営団地下鉄丸ノ内線・南北線 後楽園直結
       都営地下鉄三田線・大江戸線 春日駅1分
       JR中央線水道橋駅8分
●会 場 費:1200円(会員)、1500円(非会員)
       (入会金:500円——その場で入会可、1年有効)
       100円引きになる会場費割引券をご利用下さい。
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【ものがたり】
20世紀初頭、辛亥革命時期の浙江省東部の山村。若くして未亡人となってしまった祥林嫂(シェンリンサオ)は、借金のかたに賀老六(フーラオリゥ)に嫁として売られる。嫌がる彼女はそれから逃れようと必死に頭をぶつけて自殺をはかった。無理矢理連れてこられ、頭に傷を負った彼女を迎えたのは幸いにも気の弱い善人の新しい夫だった。安心した祥林嫂は賀老六と仲よく暮らし子宝にも恵まれた。しかし、妻を娶るため借金をした賀老六は金を返すために身を粉にして働いた。そのためにやがて病気になってしまう。ついに賀老六は過労死し、それに追い打ちをかけるように子供は狼にさらわれてしまった。何もかも失い絶望の毎日を送る彼女の言動は初めは同情を買うものの、同じ言葉ばかり繰り返す彼女は次第に周囲から疎んじられる存在となっていた。しかし、彼女は自分の置かれた状況に気づくことはなかった。
2人の夫と子供に相次いで先立たれた祥林嫂は、『不吉な女』というレッテルを張られ吉事には関係させてもらえなくなった。『なぜ私だけがそんな扱いを受けるのか…』。救いを求め菩薩にすがる彼女に、『敷居を献納すれば救われる』という言葉が聞こえる。
それで救われるのならと必死で働いて金を貯め、ついに敷居を献納した祥林嫂。これで皆から疎まれることはなくなる…。しかし、『私は敷居を献納したんですよ』という彼女に対し、人々は今まで以上に冷たい仕打ちをするのだった。
現実をようやく理解した彼女は自分が献納した敷居を泣きながら打ち壊し、絶望の中、浮浪者となってさまよう。そして、彼女は春節(旧正月)の前夜、家々から洩れる祝福の声を聞きながら雪の中に生き倒れるのだった…。

【かいせつ】
魯迅の有名な小説『祝福』を、夏衍が脚色した作品である。主人公の名前である祥林嫂は最初の夫の名前『祥林』に「おばさん」を意味する『嫂』をくっつけたもの。最初の夫の名前で呼ばれていたのだ。迷信に凝り固まり、女性が自分自身の名前を持つことも許されなかった時代の物語である。
主人公の祥林嫂には《春の河、東に流る》や《十字路》でおなじみの往年の大女優・白楊が、2番目の夫・賀老六には《家》や《街角の天使》で好演の魏鶴齢がそれぞれ扮している。チェコのカルロビバリ映画祭で特別賞を受賞した秀作である。
監督の桑弧(1916〜)は新中国誕生前から上海で脚本を書き、監督を務めた第一世代。他の監督作品に《不了情》《奥様万歳》(1947)、《中年の哀楽》(1949)、《太平春》(1950)、《有一家人家》(1951)、《梁山泊と祝英台》(1954)、《春満人間》(1959)、《魔術師的奇遇》(1962)、《白毛女》(1972)、《双子の兄弟》(1979)、《子夜》(1981)などがある。

以上

現代中国映画上映会 gentyuei@parkcity.ne.jp
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