中国映画撮影所シリーズ2
日中国交正常化30周年記念 連続シンポジウムと上映
香港映画の黄金時代Ⅰ Golden Age of Hong Kong Cinema Ⅰ

映画産業が全盛期を迎えつつあった、1960年代の香港——。
日本との交流が進むなか、東宝がキャセイと合作した宝田明=ユー・ミン尤敏共演の”香港三部作”(61〜63)。アジア各地で一世を風靡した幻のシリーズを一挙上映!
“ルビッチ・タッチ”を極めた珠玉の香港コメディ群。脚本を手掛けたひとりの女性作家——上海文壇の寵児、チャン・アイリン張愛玲の実像に迫る!

〔会期〕2002年11月28日(木)〜12月1日(日)
〔会場〕赤坂・国際交流基金フォーラム
〔主催〕国際交流基金アジアセンター
〔協力〕東宝株式会社、キャセイ・クリス・フィルム、香港電影資料館
〔企画協力〕ぴあ株式会社

【第1部 宝田明とユー・ミン尤敏〜愛の”香港三部作”】
●『香港の夜』香港之夜 A Night in Hong Kong
1961年/東宝=キャセイ合作/118分
監督:千葉泰樹 出演:宝田明、ユー・ミン尤敏、司葉子、草笛光子、上原謙
東宝とMP&GI(キャセイ)が合作した、宝田明=尤敏コンビの記念すべき第1作。新聞社の香港特派員(宝田)が、日本人を母に持つ中国女性(尤敏)と出会い、戦時中の日本で行方不明になった彼女の母を探す過程で心を通わせていく。『慕情』(55)を思わせる物語設定も手伝って大ヒットとなり、本作で日本デビューした尤敏も一躍人気者となった。
●『香港の星』香港之星 Star of Hong Kong
1962年/東宝=キャセイ合作/108分
監督:千葉泰樹 出演:宝田明、ユー・ミン尤敏、ワン・イン王引、団令子、山村聰
『香港の夜』に続くシリーズ第2作。商社の香港駐在員(宝田)と、難民診療所の女性医師(尤敏)の出会いから別れまでが、香港、東京はもとより北海道、シンガポール、クアラルンプールまでを舞台に展開され、当時の東南アジアの風景も見ることができる。本作のヒットによって、日本での”尤敏フィーバー”は最高潮に達した。
●『ホノルル‐東京‐香港』 香港、東京、夏威夷 Hong Kong, Tokyo, Honolulu
1963年/東宝=キャセイ合作/102分
監督:千葉泰樹 出演:宝田明、ユー・ミン尤敏、加山雄三、ワン・イン王引、ワン・ライ王莱
『香港の星』に続くシリーズ最終作。当時の海外旅行の代名詞であったハワイでの出会いを経て、真珠商会の御曹司(宝田)と、ミス・ハワイに選ばれた女子学生(尤敏)の恋の顛末は、東京、香港へと移っていく。同時期に撮影中だった『ハワイの若大将』の加山雄三が、東宝的合理主義の発想で本作にも出演している。

【第2部 文壇の寵児・チャン・アイリン張愛玲〜文学と映画の間】
●『恋の行方』情場如戦場 The Battle of Love
1957年/香港/91分/ビデオ上映
監督:ユェ・フォン岳楓 脚本:チャン・アイリン張愛玲 出演:リン・ダイ林黛、チン・ユー秦羽、チャン・ヤン張揚
張愛玲がMP&GI(キャセイ)作品に初めて脚本を提供した作品。平凡な会社員、大富豪の娘、執筆に追われる作家先生、美女にいれあげる考古学教授などが入り乱れ、恋の行方はどうなることやら…。監督の岳楓は、30年代上海映画の黄金時代を担い、戦時中には阪東妻三郎主演の『狼火は上海に揚がる』(44)を稲垣浩と共同監督したベテラン。
●『ジューン・ブライド』六月新娘 June Bride
1960年/香港/97分/ビデオ上映
監督:タン・ホァン唐煌 脚本:チャン・アイリン張愛玲 出演:グレース・チャン葛蘭、チャン・ヤン張揚、ロイ・チャオ喬宏
張愛玲が得意とした香港流スクリューボール・コメディの代表作。フィアンセの待つ香港へ帰る船旅で、突然巻き起こった恋のゲーム。果たして恋人たちは結婚式まで無事に到達できるのか…。監督の唐煌は、ミュージカルやコメディを得意としたキャセイの看板監督。本作でも、歌って踊れるスターたちの魅力を引き出している。
●『家族』小児女 Father Takes a Bride
1963年/香港/100分/ビデオ上映
監督:ワン・ティアンリン王天林 脚本:チャン・アイリン張愛玲 出演:ユー・ミン尤敏、ワン・イン王引、レイ・ジェン雷震
コメディと並んで張愛玲が得意とした、叙情的で哀感に満ちたホームドラマの一本。幼くして母を亡くした景慧が、かつての同窓生と交際を開始すると、父親にも再婚話が浮上する。父と子のダブルの恋愛の顛末は…。「香港三部作」を終えたばかりの尤敏が、『香港の星』『ホノルル・東京・香港』と同じく王引とコンビを組んで親子役を演じている。

【宝田明プロフィール】
1934年、旧満洲ハルピンに生まれる。東宝第6期生として『かくて自由の鐘は鳴る』(54)でデビュー、『ゴジラ』(54)『青い山脈』(57)『放浪記』(62)『ミンボーの女』(92)など200本を超える映画に出演。また64年の「アニ−よ銃をとれ」をはじめ、「南太平洋」「風と共に去りぬ」など多数のミュージカルにも主演、映画・テレビ・舞台で幅広く活躍している。

【尤敏プロフィール】
1935年香港生まれ。ショウ・ブラザースの『玉女懐春』(52)でデビュー後、58年からにキャセイに移り、『家有喜事』(59)で「アジア映画祭」の、『星星・月亮・太陽』(61)で「台湾金馬賞」の、ともに最優秀主演女優賞を得て名実ともにトップスターとなる。「香港三部作」では、清純な顔立ちと聡明さで日本でも人気を呼ぶが、64年に結婚のため引退、96年に死去。

【張愛玲プロフィール】
1920年生まれ。上海の名家に育ち弱冠22歳で上海文壇に彗星の如く登場、小説集「傳奇」は刊行4日で完売の人気となる。『不了情』『奥様万歳』(47)など映画の脚本も数多く手がけ、52年に拠点を香港に移し、キャセイで『恋の行方』(57)など8本の映画脚本を執筆した。小説執筆から離れた後は中国古典文学の研究や英訳作業に専念、95年に移住先のロサンゼルスで死去。

〔シンポジウム〕
シンポジウム1「日本香港映画交流史」四方田犬彦(明治学院大学教授:主著「アジアの中の日本映画」など)、門間貴志(明治学院大学講師:「アジア映画にみる日本」など)
シンポジウム2「戦後中華圏映画の黎明〜上海から香港へ」ロウ・カー羅?(香港電影資料館プログラマー)、宇田川幸洋(映画評論家)、松岡環(アジア映画研究者:「アジア 映画の都」など)
シンポジウム3「チャン・アイリン張愛玲〜上海文壇から香港映画界へ」メアリー・ウォン黄淑嫻(香港嶺南大学講師)、藤井省三(東京大学教授:「中国映画 百年を描く、百年を読む」など)、池上貞子(跡見学園女子大学教授:張愛玲「傾城の恋」翻訳など)
「宝田明大いに語る」スペシャルゲスト:宝田明 聞き手:藤井省三、四方田犬彦、ほか

〔タイムテーブル〕
★11月28日(木)
14:00『香港の夜』  16:30『香港の星』  19:00『ホノルル‐東京‐香港』
★11月29日(金)
14:00『恋の行方』  16:30『ジューン・ブライド』  19:00『家族』
★11月30日(土)
11:30『香港の夜』  13:30シンポジウム①  15:30『香港の星』
17:30宝田明大いに語る  19:30『ホノルル‐東京‐香港』
★12月1日(日)
11:00『恋の行方』  12:30シンポジウム②  14:30『ジューン・ブライド』
16:30シンポジウム③  18:30『家族』
*全作品日本語字幕付き。各回入替制、全自由席。各シンポジウムと「宝田明大いに語る」は入場無料。
*上映作品は変更となる場合があります。

〔チケット〕
前売り/1回券800円、3回券2100円
会期中/1回券1000円、3回券2400円
(国際交流基金友の会・賛助会会員、65才以上の方は、当日受付にて証明書をご提示いただければ、前売り料金扱いとなります。)
前売り券はチケットぴあ店頭にて、10月25日(金)より11月27日(水)まで発売いたします(チケットぴあ電話予約は11月24日(日)で終了)。11月25日(月)〜27日(水)は、直接チケットぴあ店頭にてお買い求めください。
会期中は、各日初回上映の1時間前より、会場のみで当日券を販売いたします。
〔チケットぴあ電話予約〕
・オペレーター電話予約 03−5237−9999(10:00−18:00)
・お近くのファミリーマート(一部地域、店舗を除く)備え付けのセルフオペレーション端末(ファミネット/10:00−21:00、発売初日のみ12:00より)でも購入できます。お求めの際は、あらかじめPコード(677−729)と、購入されるプログラムをご確認ください。
・セブンイレブンでは、東京都内の店舗のみで10月26日(土)より販売いたします。備え付けのセルフオペレーション端末(セブンナビ/10:00−20:00)で購入できます。お求めの際は、購入されるプログラムをご確認ください。
・サンクス(全国全店/10:00〜20:00)では、10月26日(土)より予約されたチケットをレジカウンターでお引取りいただけます。

〔お問い合わせ〕
「香港映画の黄金時代Ⅰ」事務局(ぴあ株式会社 PFF事務局内)
TEL.03−3265−1425 月〜金10:00−18:00(平日のみ)

〔会期中のお問い合わせ〕
国際交流基金アジアセンター TEL.03−5562−3892(平日)
国際交流基金フォーラム TEL.03−5562−4096(土日)

国際交流基金HP http://www.jpf.go.jp/j/