イタリア映画大回顧上映作品解説3
映画の神に嘉された天才監督達の足跡を、
ニュープリントや最新復元版で辿る、イタリア映画史百年の総決算
<上映作品解説>
18.『春が来た』 E’primavera…
1950年・日本未公開・86分
監督:レナート・カステラ一ニ
出演:マリオ・アンジェロッティ、エレナ・ヴァルツィ
トスカーナ出身の若い兵士ベッペはシチリアで地元の娘と結婚するが、転属先
のミラノでも別の女性を愛し、重婚罪で訴えられてしまう。その混乱の結末は
…。“バラ色のネオレアリズム”の代表作。2000年復元。
19.『神の道化師、フランチェスコ』 Francesco giullare di Dio
1950年・85分
監督:ロベルト・ロッセリー二
出演:ナザリオ・ジェラルディ、アルド・ファブリーツィ
中世の聖フランチェスコと修道士たちの平和な共同生活を10のエピソードで描
いた歴史物の名作。登場人物全員を実際の修道士が演じた。ニュープリント。
20.『ある愛の記録』 Cronaca di un amore
1950年・日本未公開・102分
監督:ミケランジェロ・アントニオー二
出演:ルチア・ボゼー、マッシモ・ジロッティ
ミラノの実業家の若く美しい妻が、かつての愛人とよりを戻し、夫の殺害を計
画する。アントニオ一ニは記念すべき長編デビュー作において現代のブルジョ
アの不条理な愛を描き、自らのスタイルを打ち立てた。
21.『寄席の脚光』 Luci del varieta
1950年・日本未公開・98分
監督:アルベルト・ラットゥアーダ、フェデリコフェリーニ
出演:ペッピーノ・デ・フィリッポ、カルラ・デル・ポッジョ
ジュリエッタ・マシーナ
中年の旅芸人が芸人志望の若い娘にさんざん翻弄されたあげく、最後には気の
いい婚約者のもとに戻る。名匠ラットゥアーダと君だ、フェリーニの監督デビ
ュー作。
22.『ミラノの奇蹟』 Miracolo a Milano
1951年・96分
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
出演:フランチェスコ・ゴリサーノ、ブルネッラ・ボーヴォ
エンマ・グラマティカ、パオロ・ストッパ
人のいい孤児トトは、町外れの広場にホームレスたちのユートピアを作ろうと
するが…。リアリズムにファンタジーが加わった秀作。カンヌ映画祭グランプ
リ・審査員特別賞受賞。
23.『ベリッシマ』 Bellissima
1951年・113min
監督:ルキーノ・ヴィスコンティ
出演:アンナ・マニャーニ、ヴァルテル・キアーリ
チネチッタ撮影所が子役の少女を公募することになり、気丈な母親は自分の子
供をスターにしょうと必死の努力をする。ヴィスコンティがマニャーニの魅力
を最大限に引き出した作品。フィルムセンター収蔵プリントを上映。
24.『ウンベルトD』 Umberto D.
1952年・89min
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
出演:カルロ・パッティスティ、マリア・ピア・カジリオ
年金生活を送る退職官吏の老人が、アパートの立ち退きを命じられて途方に暮
れる。全員を素人が演じている。脚本のザヴァッティーニとのコンビが最も成
功したといわれるデ・シーカの名作。
25.『高校3年』 Terza Liceo
1953年・103分
監督:ルチアーノ・エンメル
出演:ジュリア・ルビ一ニ、イザベッラ・レーディ
ローマの高校の学生たちの不安や悩み、家族や教師との関係、そして恋愛を描
いた学園もの。アート・ドキュメンタリーの巨匠・エンメルの若き日の作品で、
日本でも主題歌「デリカード」と共に大ヒットした。
26.『こんなに悪い女とは』 Peccato che sia una canaglia
1954年・日本未公開・96分
監督:アレッサンドロ・ブラゼッティ/原作:アルベルト・モラヴィア
出演:ヴィットリオ・デ・シーカ、ソフィア・ローレン
マルチェロ・マストロヤンニ
20歳のソフィア・ローレン演じる美人の泥棒と、彼女を更生させるために結婚
を決意するローマのタクシー運転手(マストロヤンニ)を描いた喜劇。2001年復
元。
27.『白い天使』 Angelo bianco
1955年・日本未公開・98分
監督:ラッファエッロ・マタラッツォ
出演:アメデオ・ナッツァーリ、イヴォンヌ・サンソン
愛する妻に先立たれたエンジニアが、列車で偶然妻とそっくりな女性に出会っ
て結婚するが、新妻には思いがけない悲劇が待ち受けていた。メロドラマの大
家マタラッツォの代表作。2000年復元。