「ラース・フォン・トリアー『イディオッツ』の世界」と題して、
8月6日(月)〜8月11日(土)にアテネ・フランセ文化センターにて3月に劇場
公開された『イディオッツ』並びに劇場公開では日本初登場となります
2本『屈辱者 THE HUMILIATED メイキング・オブ・イディオッツ』と
『LARS FROM 1-10』が限定ロードショーされます。

「本当の孤独者」は、私たち、凡庸な孤独しか知らない「健常者」には手のつけよう
もない、午後の日向の、墓石の表層のその境界に張り付いてしまったかのように「醜
い」…まさにみにくい微笑とでも呼ぶしかない表情を浮かべるのである(私はそれを
身近に経験して知っているから断言する)。そして冒頭のカレンの表情以降一時間余
り続く『イディオッツ』と題された映画は要するにカレン─「本当の孤独者=イディ
オット」を巡る注釈に過ぎないと言ってもよいだろう。
丹生谷貴志(美学)

白痴(イディオッツ)は奇跡だった。
ラース・フォン・トリアー監督による限りなく優しく、そして残酷な傑作『イディオッ
ツ』が、その製作現場に密着した貴重なドキュメンタリー『屈辱者』と彼自身が“ド
グマ95”について語ったショート・フィルム『LARS FROM 1-10』とともに上映が決
定!! 撮影現場に何度も“奇跡”は舞い降りたのだ!

■イディオッツ THE IDOTS
ラース・フォン・トリアー監督作品
1998年カンヌ国際映画祭コンペティション正式出品作品
監督+脚本:ラース・フォン・トリアー  撮影:ラース・フォン・トリアー+クリ
ストファー・ニュホルム+イェスパー・ヤーギル+カスパー・ホルム  
出演:ボディル・ヨアンセン イェンス・アルビヌス アンヌ・ルイーセ・ハシング
 トレルス・リュビュー ニコライ・リー・コース ヘンリク・プリップ ルイス・
メソネオ ルイーズ・ミエリッツ クヌズ・ロマー・ヨアンセン トリーネ・ミケル
セン アンネ=グレーテ・ビアルプ・リース
1998年/デンマーク映画/35mm/カラー/ヨーロピアンビスタ/117分/日本語字幕
付  配給:スローラーナー

痛すぎると、涙もでない!!
世界が涙した『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のラース・フォン・トリアー監督の傑
作。
誰の心の中にもひとりの“白痴”(イディオット)が棲んでいる。

わざと“白痴”のふりをして「嫌がるお前らの方が最悪だ!」と周りを挑発するスト
ファーを中心とするグループ“イディオッツ”。周囲の人々を挑発し、パーティーで
尻丸出しで騒いだり、エキセントリックになったストファーは時にすっ裸で路上を走
るのだ。幼い子供を失ったカレンは、何故か偶然出会った彼らに惹かれ、そこの安住
の場所を見いだした。彼女の胸の中にもまた、小さな白痴(イディオット)が棲んで
いたのだ…。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』で世界中を泣かせたラース・フォン・
トリアー監督。そのエキセントリックな内容のために、みんなが口をそろえて公開不
可能とまで言われた傑作なのだ。確かに『イディオッツ』は危険な映画だ。でも、そ
の底には“役立たず”たちへの愛情が溢れている。誰もが幸せになることは難しいが、
そう願わずにはいられないトリアー監督の“優しさ”が、ここには結晶している。

■屈辱者 THE HUMILIATED
監督:ジャスパー・ジャーギル 1998年/デンマーク映画/デジカム→βカム/79分
/日本語字幕付 配給:スローラーナー

『イディオッツ』の撮影に密着したドキュメンタリー登場!
ラース・フォン・トリアー監督を始め、出演者たちの素顔。
撮影中、奇跡は何度か舞い降りたのだ。
“ドグマ95”の2番目の作品である『イディオッツ』の波乱に満ちた製作過程に密着
した貴重なドキュメンタリー。カメラは、トリアーや出演者たちの、試行錯誤や不安
を見つめ続ける。その映像に寄り添う、トリアーが日記がわりに録音したカセットの
声が、監督の孤独や、出演者に対する愛と憎しみ、個人的な感情、自惚れを露わにす
るのだ。この作品が、アドリブを採用する一方で、トリアーの繊細な演出によって作
り上げられたことがよく分かる。映画のラストでスザンヌが見せる涙を待つ4日にわ
たる長い時間。トリアー自身がトリュフォーの『華氏451度』やタルコフスキーの引
用と語る、美しい森のピクニックシーンなど、撮影中に奇跡は何度か舞い降りたのだ。

■LARS FROM 1-10
監督: ソフィ・ファインズ+シャリー・ローマン
1999年/アメリカ+イギリス合作/デジカム→βカム/10分/日本語字幕付
配給:スローラーナー

ラース・フォン・トリアー監督自身が“ドグマ95”の発端について、自らの過去の作
品『奇跡の海』『キングダム』などを引用しつつ語った貴重な短編作品。監督は、バ
レエ界の“アンファン・テリブル”マイケル・クラークについてのドキュメンタリー
『マイケル・クラーク』がアート・ドキュメンタリー映画祭でも上映されているソフ
ィ・ファインズ。

8/6(月)〜11(土) 限定ロードショー!!
一般:¥1500 アテネ・フランセ文化センター会員:¥1000
8/6(月)〜10(金)
 14:30/19:00 LARS FROM 1-10+屈辱者
 16:30 イディオッツ
8/11(土)
 13:30 イディオッツ/16:00 LARS FROM 1-10+屈辱者 

アテネ・フランセ文化センター
tel.03-3291-4339(13:00〜20:00)
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台2-11 アテネ・フランセ4F
(JRお茶の水駅、水道橋駅下車徒歩7分)