13F/The Thirteenth Floor

1999年/コロンビア映画作品/ソニーピクチャーズ エンターテインメント配給/
シネスコ/全5巻/2,754m/上映時間1時間40分/ドルビーSR/SRD/SDDS/
字幕翻訳:岡田荘平

そのフロアには−−−人間最大の秘密−−−が存在する。

<INTRODUCTION>
 とある高層ビルの13階、コンピューターの最先端技術を開発中のこの平面は、と
てつもなく深い間を内包していた。仮想現実という夢の世界がその枠組みを超え、
現実との境がぼやけてきたらどうする?すでにそうなっていたとしたら…?
 「インデペンデンス・デイ」「ゴジラ」の監督として大ヒットメイカーの名を不
動のものとしたローランド・エメリッヒ。大のSFファンである彼が今度は製作者の
側に回り、才能あるドイツ映画人を結集、クールで渋く、スタイリッシュで悪夢の
ようにそら恐ろしい世界を織りなした。13Fから縦横に、無限に広がる恐るべき”人
間最大の秘密”を解き明かす、これば新世紀のSFミステリーであり…もしかしたら
現実かもしれない。

 コンピューター・ソフトを開発しているダグラス・ホールは、ボスのハノン・フ
ラーと共に仮想現実創作技術を駆使、コンピューター上1937年のロサンジェルスを
再現しようとしていた。そんなある日、フラーが何者かに殺害され、ホールは容疑
者にされてしまう。いったい何があった?何故記憶がないのだ?やがてホールは.1
937年と現在にパラレル・ワールドが存在し、2つの世界にまたがって危険な二重
生活が展開していることを知る…過去と現在が”13F”で交錯、ホールは事件の真相
ばかりではなく、自分の存在そのものさえ疑わざるを得なくなる。

 監督はエメリッヒの「ゴジラ」で第2班監督をつとめたジョゼフ・ラスナック。
故国ドイツではすでに高い評価を得ている実力派だ。ラスナックはラベル・センテ
ノ・ロドリゲスと共に、ダニエル・F・ガロイの小説「模造世界」を原作に脚本も
書いた。製作は他に、ウテ・エメリッヒ、マルコ・ウェバー。撮影はドイツの映
画、テレビで活動するベディゴ・フォン・シュルツェンドルフ。編集は「暴走機
関車」でアカデミー賞候補となったヘンリー・リチャードソン。美術は「ブレイ
ド」のカーク・M・ペトルチェッリ、衣装は「インデペンデンス・デイ」「ゴシ
ラ」のジョゼフ・ポロ。音楽はやはりドイツからハラルド・クローサー。
 主役のダグラス・ホールには、「ロング・キッス・グッドナイト」のクレイグ
・ビアーコが扮し、相手役である「ラウンダーズ」のグレッチェン・モルと共に
、古典的美貌で映画のロマンティックな面を浮き立たせているほか、「シャイン
」「X-ファイル」、また最新作で「聖なる嘘つき」に出演しているベテラン性
格俳優、アーミン・ミュラー・スタール、「MIB」で怪演を見せたビンセント・
ドノフリオ、「メジャーリーグ」シリーズのデニス・ヘイズバードらが、がっ
ちりと脇を固めている。

<STORY>
 1999年。ダグラス・ホール(クレイグ・ビアーコ)は6年前から、仮想現実創造
の研究、開発にたずさわっている。目下の課題は1937年のロサンゼルスを再構築
、その住人たちに意識をリンクさせ、シミュレートした世界に入り込もうという
もの。
 ホールのボスは友人でもあるハノン・フラー(アーミン・ミュラー・スタール)
、同僚はホィットニー(ビンセント・ドノフリオ)、職場はとある高層ビルの13F
だった。
 ある朝ホールが目覚めると血だらけのシャツがあり、フラーが殺されたことを
知らされる。事件を捜査する刑事マクベイン(デニス・ヘイズパート)は、いきな
り最先端企業の後継者となったホールを疑う。また、天涯孤独だったはずのフラ
ーの娘を自称する美女ジェーン(グレッチェン・モル)が出現。混乱しながらもホ
ールは、どこかで会ったような記憶のある彼女に惹かれていく。
 フラーは殺される直前。場末の酒場からホールの留守番電話にメッセージを残
していた。さらに、ホールをゆすりに来た酒場のバーテンまで惨殺されてしまう
。目分の潔白に自信の持てなくなったホールは真相を探すべく、ホィットニーの
協力を得て、初めて、1937年の仮想世界に飛ぶ。

 エッペリン墜落の号外が飛びかう1937年の世界。ここでのホールは、ファーガ
ソンという銀行員、フラーはグリアソンという名の善良な古書店主、ホィットニ
ーはアシュトンという高級ホテルのバーテンダーとなっている。生前のフラーは
堅物だったが、37年の世界にやってくるとシルクハットの正装で浮き名を流して
いた。古書店主としてのグリアソンはフラーとなってさまよう夜の記憶があいま
いだった。
 ファーガソンの姿をして古書店主グリアソンを訪れたホールは、グリアソンの
おぼろげな記憶から、フラーのメッセージはアシュトンが預かり、なおかつ密か
に開封して読んでしまったことを突き止める。
 アシュトンはその手紙で自分が仮想の人間であることを知り、かつ「人間最大
の秘密をこの目で見てきた。」ことでその事実を確認したという。自分が作られ
た仮想の存在で、それをあやつっているのがフラーとホールだと思い込んだアシ
ュトンは激昂してホールを襲う。しかし時間切れとなり、ホールはかろうじて現
代に逃げ延びるが手紙の内容は知らぬままだった。

 ジェーンが消えてしまった。ホールが足跡をタドルトナターシャの名前でスー
パーのレジをやっていた。「前に会ったことがある気がする」とはいうもののホ
ールは知らない様子。ホールはその夜車をどこまでも走らせ、「人間最大の秘密
」を見てしまう。
 ジェーンがオフィスに訪ねてきて真相を明かす。「こんな事がいくつあるんだ
?」「数え切れないほど存在するわ」ジェーンは、「人間最大の秘密」を見破っ
たフラーの死後、コンピューター回路を閉鎖させるためにどこからか送られてき
たのだった。フラーはホールの意識にシミュレートした。
 デイビッドは最初は普通の人間だったが、やがてシミュレーションで遊ぶこと
に熱中し、神になった気で異次元での世界で殺人を楽しむようになってしまった
。そしてホールに恋したジェーンを殺そうとしていた。

 一方13Fでは好奇心をおさえきれなくなったホィットニーが1937年に飛ぶ。彼
がシミュレートしたアシュトンはホールの分身ファーガソンを縛って車のトラ
ンクに閉じ込め移動中だった。警察に怪しまれ焦ったアシュトンは突っ走って
きたトラックに跳ねられ突然の死を迎える。アシュトンの姿をしたホィットニ
ーは37年の世界で死に、現在にもどったのはホィットニーの姿をしたアシュト
ンだった。

 目分はいったい誰なのか?目の前にいるのは何者なのか?これは果たして現
実なのか?「人間最大の秘密」知った者たちが、自身の存在と謎の結末を求め
て「13F」を駆け巡る。

<STAFF>
監督:ジョゼフ・ラスナック
脚本:ジョゼフ・ラグナック、ラベル・センテノ・ロドリゲス
原作:ダニエル・ガロイ
製作:ローランド・エメリッヒ、ウテ・エメリッヒ、マルコ・ウェバー
製作総指揮:ミハエル・バルハウス、ヘルガ・バルハウス
共同製作:ケリー・バン・ホーン
撮影:ベディゴ・フォン・シュルツェンドルフ
美術:カーク・M・ペトルッチェリ
編集:ヘンリー・リチャードソン
音楽:ハラルド・クローサー
衣装:ジョゼフ・ポロ

<CAST>
ダグラス・ホール、デイビッド:クレイグ・ビアーコ
ハノン・フラー:アーミン・ミュラー・スタール
ジェーン・フラー:グレッチェン・モル
ホィットニー、アシュトン:ビンセント・ドノフリオ
ラリー・マクベイン:デニス・ヘイズバード
ゼブ・バーンスタイン:スティーブン・スカブ
トム・ジョーンズ:ジェレミー・ロバーツ
ジョー:リフ・ハット