どら平太
どら平太
2000年/日本映画
2000年5月13日(土)全国東宝系公開
一九六九年、日本映画を代表する四人の巨匠・黒澤明、木下惠介、市山崑、小林
正樹が「四騎の会」を結成した。「日本はもとより、世界の話題となる映画を作ろ
う」という主旨のもと、4人が共同で脚本を執筆し、自分の好きな部分を演出する
という夢のようなプロジェクトだった。その第一作に選ばれたのが、山本周五郎
「町奉行日記」を原作とする「どら平太」だ。しかし映画化は実現せず三十年が
経過した。
一九九九年、市川崑監督は「どら平太」映画化を決意する。痛快、愉快、豪快
−−−映画界待望の娯楽大作を再び作ろう。すでに亡き盟友たちのためにも、世
界へむけた日本発の新時代劇エンターテインメントといえる作品を生み出すべく
このプロジェクトはスタートした。
或る小藩の町奉行所で書役たちが未だ出仕しない新任の町奉行について噂話を
している。町奉行が不明瞭な辞職を繰り返しており、後任を待っているのだった
。その新任の町奉行は、江戸からくる望月小平太といい、ふるまいは放埒を極め
、”どら平太”というあだ名がついていた。
この藩の壕外とよばれる一画では、密貿易・売春・賭博・殺傷が横行しており
、三人の親分が権力を握っている上、藩の城代家老たちとも長年結託していた。
どら平太に与えられた任務は、このすべての腐敗を正すことだった。
”飲む・打つ・買う”独特のやり方で、次第に敵の懐に入り込むどら平太。”官か
官を斬る”−−−藩という体制側にありながら、痛快に組織の不正を正すどら平太
は、現代社会にも通じるヒーロー像といえる。刺客との対決、五十人のヤクザ者
との大立ち回り、策略と陰謀づいにすべてを暴いたどら平太は意外な真実を知る…
主演は役所広司。どら平太という新しいヒーローをユーモラスかつ豪快に演じ
る。どら平太の唯一の弱点、彼に恋する江戸の芸者・こせいを浅野ゆう子。どら
平太の友人で藩の目付役に宇崎竜童と片岡鶴太郎。三人の親分に菅原文太、石倉
三郎、石橋蓮司。城代家老に大滝秀治といった超豪華キャストが勢揃いした。
スタッフも市川崑監督作品を長年支えるベストスタッフが結集し、映画的で重
厚な画面に軽快なタッチを加味して、一流の娯楽作品を作り上げた。市川監督は
「ビルマの竪琴」「東京オリンピック」「犬神家の一族」「細雪」「四十七人の
刺客」「八つ墓村」など数々の名作を半世紀にわたり手がけてきたが、七十四作
目にあたるのがこの作品。そのキャリアのすべてをつぎ込み、”傑作”を作り出し
た。
これぞ時代劇!これぞ映画!まさに映画の面白さここにあり!ご期待ください。
<STAFF>
製作総指揮:中村雅哉
制作:西岡喜信
原作:山本周五郎「町奉行日記」(新潮社刊より)
脚本:黒澤明、木下惠介、市山崑、小林正樹
監督:市山崑
プロデューサー:猿川直人、酒井実、鶴間和夫
撮影:五十畑幸勇
美術:西岡喜信
照明:下村一夫
録音:大谷巌
調音:大橋鉄矢
編集:長田千鶴子
助監督:小笠原佳文
音楽:谷川賢作
<CAST>
望月小平太:役所広司
浅野ゆう子
仙波義十郎:宇崎竜童
安川半蔵:片岡鶴太郎
石倉三郎
継町の才兵衛:石橋蓮司
中井勝之助:うじきつよし
市川六左衛門:尾藤イサオ
大滝秀治
神山繁
加藤武
三谷昇
津嘉山正種
岸田今日子
江戸屋猫八
菅原文