いつか来た道/coslridevano/The way we laughed

1998年/イタリア映画/カラー/上映時間124分

1998年ヴェネチア映画祭グランプリ金獅子賞受賞作品

<INTRODUCTION>
 この映画はもはや今では存在することのないイタリアについて描いています。そ
して、僕たちが今日生活しているイタリアについてより多くのことを知ることがで
きます。かつてイタリアの人々はこの映画に描かれているように笑い、そして泣い
た。この映画は、ひとつの時代に終止符を打つ映画というわけではなく、前の世代
から次の世代への深い愛情を込めた掛け橋のような映画です。そして、イタリアと
いう国が戦後の大きな変化、つまり農業国から都会的な産業国へと変化を遂げたと
き、僕たちの生活にとって決定的だった終止符というものを正面から据えた映画で
す。
 僕たちは、急激に高度成長を遂げた経済が作りあげた登場人物たちのキャラクタ
ーやその対比、そしてこの時代の暗い側面について描こうとした。僕たちはこの時
代の若者たちが勝ちえたこと、そして失ったこととほ何だったのかということを発
見したかった。そして、仕事と教養を身につけることによって強く約束された将来
、つまり裕福な社会に到達する過程で、第一線に立たされたこの時代の若者たちを
見つめたかったのです。

 トリノに移住したふたリのシシリア出身の兄弟、ジョヴァンニとピエトロの物語
は、文化的なユートピア、つまり巨大な妄想についての物語です。兄は読み書きが
出来なかった。彼にとって電話番号でさえも難儀なものであり、道路表示を読むこ
とも出来ない。さながら盲人のようだった。彼は本をもって道を歩くだけでほっと
した気持になり、自分自身を勘違いし、自信づけられた。教養だけが自分たちを裕
福にしてくれる唯一の手段と確信していた。そして、どんな犠牲を払ってでも弟に
教養を身につけさせたい一心で、弟を学校に通わせるために、どんなにつらい仕事
でも、どんなに貨金が安い仕事でも、あらゆる仕事をこなした。やがて、彼はやっ
て良い仕事と悪い仕事の区別がつかなくなってしまい、どこまでを犠牲にしてよい
のか、どこまでが合法であるのかが分からなくなっている自分に気づかなくなって
しまった。
 時が経つにつれて兄弟は変わっていく。そして最後に、この兄弟は、彼らが変わ
ってしまったと同時にイタリアという国も変わってしまったことに気づく。もはや
教養によって裕福になるという夢はこの国から永遠に消え去っていた。

<STORY>
 この映画は、トリノの移民したシシリア出身のふたりの兄弟の物語です。
1958年から1964年までの6年間のそれぞれの年のある1日を描いています。
 これらの6日問は、6つの章として物語を構成しています。
 Arrivals(到着)−−−Betrayals(裏切り)−−−Money(金)−−−
letters(手紙)−−−blood(血)−−−Familles(家族)
 兄のジョヴァンニは密かに野心的な計画を立てていた。しかし、彼の野心は彼の
能力を超えたものだった。彼は読み書きが出来なかったので、弟のピエトロに教員
免許を取らせて小学狸の教師にさせようとしていた。別に彼は金持ちになりたかっ
たわけじゃない。ただお金を稼いで、しかも簡単な方法でお金を稼いで生計を立て
たかっただけだった。彼の計画を実現するためには、息子のように愛している弟が
学問を身につけることが必要たった。学問とは本当に人問を裕福にしてくれるもの
だ。
 ジョヴァンニの計画は達成した。そして、結果は悩ましいものとなってしまった
。おそらく最後までこの兄弟は、彼らが勝者それとも敗者になったのか、経済的に
裕福な暮らしを手にするためにどれほど多くの犠牲を払ったのか知ることは決して
ないだろう。

<STAFF>
監督・脚本:ジャンニ・アメリオ
製作:ヴィットリオ・チェキ・ゴリ、リタ・チェキ・ゴリ
撮影:ルカ・ビガッジ
美術:ジャンカルロ・バシリ
衣装:ジャンナ・ジッシ
音楽:アレッサンドロ・ザノン

<CAST>
ピエトロ:フランシスコ・ジェフリッダ
ジョヴァンニ:エリンコ・ロ・ヴェル