パゾリーニの壮絶な死の真相に迫る猥褻と倒錯のスキャンダラス・ムービー
…そうだ、芸術家ですら恥を知っている。でも、僕はちがう、僕は恥も何もない…

『パゾリーニ・スキャンダル/sputero’su mio padre -nerolio-』
1996年/イタリア/イタリア語=日本語字幕/モノクロ/35ミリ/ビスタ/
上映時間:90分/配給:(㈱ゼアリスエンタープライズ

・2000年2月26日(土)より銀座シネパトスにてレイト・ロードショー!
 順次大阪・テアトル梅田/名古屋・シネマスコニレ他全国

☆’97第11回ミラノ・レズビアン&ゲイ映画祭グランプリ
☆’97アレッツォ映画祭最優秀撮影賞
☆’96アネシー映画祭特別賞
☆’97ペライアーズ映画祭 最優秀男優賞 受賞
☆’96ロカルノ/’96トロント/’96ロサンゼルス/’96アネシー
☆’97ロッテルダム 各国際映画祭インターコンペティション出品

<INTRODUCTION>
夜とホモセクシュアリティは“パゾリー二的”であるためには欠かせない。「私が追
い求めてきたものがセックスの快楽だけではないと言ったら?それは温もり、愛情、
人生そのものでもあったと言ったら?どうかね、君は信じるかね?」と、本作の中で
映画監督であり詩人である男は語ります。
1975年、ピエル・パオロ・パゾリー二は賛美と罵声に彩られたスキャンダラスな生涯
を閉じた。何者かに撲殺され、オスティア海岸近くのゴミ箱の中から発見されたので
ある。『パゾリー二・スキャンダル』は、『シチリアの娼婦たち』『肉屋』のアウレ
リオ・グリマルディーが、イタリアの鬼才、パゾリー二の壮絶な死の真相に迫る猥褻
と倒錯のスキャンダラス・ムービー。

出演は『グッドモーニング・バビロン』のマルコ・カヴィッキオーリ、『監督ミケー
レの黄金の夢』のピエラ・デッリ・エスポステイ、イタリア的スターのサルヴァトー
レ・ラッツァーロ、そして美しい若者たちは…街で探してきたといいます。グリマル
ディが敬愛してやまないパゾリーニの姿を、美しいドキュメンタリー・タッチのモノ
クロ映像に焼き付けたのは、ともにグリマルディと4作目の仕事となる、撮影のカル
ヴェージと編集のボナンニ。音楽はグリマルディ自身が作曲。本作でも『シチリアの
娼婦たち』以来のグリマルディの姿勢は変わりません。分析はしない、ただ提示する
だけなのです。

『パゾリーニ・スキャンダル』は、完成後2年半を経た98年秋本国イタリアでようや
く公開。トロント映画祭ほか各国の映画祭で上映、国内外で物議をかもした話題作が
ついに日本でも公開されます。

<STORY>
エピソード1
“人びとを見るために”二等列車で旅をする有名なイタリアの詩人であり映画監督で
ある男。シチリア島のシラクーザに到着する。労働者階級が暮らすマッザローナ地区
でサッカーに興じる少年たちを観察する。彼らに近付いていき、言葉をかわす。
夜が帳をおろす。海岸でたき火を囲んだ少年たちは、ひとり、またひとり、詩人の車
に近付いてゆく。カーラジオからはサティやテレマンの音楽。彼らを見つめ、彼らに
触れ…、翌朝、詩人は旅立つ。

エピソード2
詩人と母親と暮らすローマの自宅。ハンサムな23才の若者、ヴァレリオ・ヴァルゾが
訪ねてきた。詩人についての論文を書きたいということだが、それは詩人の小説を出
版したいがゆえの策略だった。詩人はヴァレリオの嘘を暴き侮辱し、便宜をはかる代
償として性的合意を取り付ける。

エピソード3
ローマの街、暗い夜道をあてどなく歩きまわる詩人。茶色い巻毛のマルコと出会い、
食事に誘う。映画出演をもちかけた後、暗がりで詩人は行為におよんだ。青年は激昂
し金をせぴる。海岸。詩人の車から、半裸の青年が飛び出し、詩人は後を追う。ヘッ
ドライトのなかでもみあい、青年は棒切れで詩人を打ちつける。意識を失っている詩
人を殴り、車に乗り込み、その身体を蝶く。夜が明ける。

エンディング
「本件品に登場する事件・人物は、監督の想像力が生み出したものである」。作品に
登場する詩人がパゾリーニであるみ否かは、答のない問題だ。とにもかくにも詩人は
“グリマルディ監督にとってのパゾリーニ”なのである。

<STAFF>
監督・原案・脚本:アウレリオ・グリマルディ
撮影:マウリツィオ・カルヴェージ
編集:マウロ・ボナンニ
音楽:マリア・ソルダティーニ
美術:マヌエル・ジルベルテイ
衣装:マリア・ヴィットリア・セスタ
音響:ジャンカルロ・ラウレンツィ
助監督:フィリッポ・オロベッロ
製作:レオナルド・ジュリアーノ
   カテリーナ・ナルディ、アランチャ・フィルム

<CAST>
詩人:マルコ.・カヴィッキオーリ
召使い:ルチア・サルド
ヴァレリオ:ヴィンチェンツォ・.クリヴェッロ
ヴァレリオの母:ビエラ・デッリ・エスポスティ
タニエレ:フランコ・ミラベッラ
ロッコ:マウロ・レナレス
マルコ:サルヴァトーレ・ラッツァーロ
少年たち:マウリツィオ・ニコロージ、エンツォ・ディ・マルティーノ
     ファビオ・ロ・ベッロ、ジャンカルロ・スクデーリ
     マルコ・スビグーリア