わすれていた大切なことを思い出させてくれるアルヴィンの
まっすぐな旅に、今、世界が涙と感動で包まれる…。

『ストレイト・ストーリー/the Straight Story』
1999年/アメリカ/上映時間1時間51分/カラー/スコープサイズ

<INTRODUCTION>
1994年にNYタイムズに掲載された実話に基づいたこの作品は、一見これまでのデイ
ヴィッド・リンチの監督作とは180度変わったかのように見えますが、リンチの
公私にわたるパートナー、メアリ・スウィー二一が友人のジョン・ローチとともに
書き上げた脚本を読んで強く心を動かされたリンチは、自ら監督することを名乗り
出ました。

「これはとてもまっすぐ(ストレイト)な物語なんだ」とリンチ自身が語るとおり、
主人公のアルヴィンは、兄に会って和解する、ただそれだけのためにひたすらまっ
すぐに進み続ける。広大なトウモロコシ畑、どこまでも、どこまでも続く道、そし
て満天の星空。ゆっくり進むことで初めて見えてくる風景、空の大きさ、星の美し
さをかみしめながら、さまざまな人に出会い、自分自身の人生を再確認しつつ、何
度トラクターの故障にあっても、手助けしようという申し出も頑固に断り、ひたす
ら兄ライルの家をめざすアルヴィンのひとり旅が、今、世界を優しく温かい涙と感
動で包んでいます。

わすれていた大切なことを思い出させてくれる、いつまでも心に残る名作として、
アメリカではディズニーが配給。マスコミにも絶賛され、アカデミー賞最有力候補
の呼び声も高まる中、いよいよこの感動が日本にもやってきます。

主人公アルヴィンには、ジョン・フォード作品などで長年スタントマンとして活躍
し、83年の『グレイフォックス』で初主演して高い評価を受けた、79歳のリチャー
ド・ファーンスワース。「この役のために生まれで来た役者」とリンチが評すると
おり、演技を越えた名演が、観る者の心を打ちます。その娘ローズを繊細に演じる
のは、アカデミー賞女優であり、リンチの親友でもあるシシー・スペイセク。そし
て兄ライルには『パリ、テキサス』以来の印象的な演技が光るハリー・ディーン・
スタントン。

脚本を手がけたメアリー・スウィーニーが編集と製作も担当。撮影は『エレファン
ト・マン』『デューン/砂の惑星』でもリンチと組んだ80歳の名匠フレディ・フラ
ンシス。美術はリンチと学生時代からの親友で、シシー・スペイセクの夫でもある
ジャック・フィスク。音楽は『ブルーベルベット』以来、リンチの全作品に参加し
ているアンジェロ・バタラメソティ。まさにリンチ・ファミリーともいうべきキャ
ストとスタッフが結集して、20世紀最後を飾る珠玉の名作が誕生しました。

<STAFF>
監督:デイウィッド・リンチ
製作・脚本・編集:メアリー・スウィーニー
撮影:フレディ・フランシス
美術:ジャック・フィスク
音楽:アンジェロ・パダラメソティ

<CAST>
リチャード・ファーンズワース
シシー・スペイセク
ハリー・ディーン・スタント