『勝手にしやがれ』『気狂いピエロ』をはじめ数々の名作を世に送り出してきたヌーヴェルヴァーグの巨匠、ジャン=リュック・ゴダールの最新作 『イメージの本』(シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー)が 4 月 20 日よりいよいよ公開となるが、フランスのラジオ局 France Culture(フランス・キュルチュール)の番組「La Grande Table(ラ・グランド・ターブル)」内で、フランス時間 15日(月)正午よりジャン=リュック・ゴダールの最新ロングインタビューが放送された。国内外のラジオ出演は実に 5 年ぶりとなる。

自宅で 2 週間前に収録されたインタビューで、ゴダールは次作の仮タイトルは『シナリオ』だと語る。「作者は脚本家であるべきだ。テクストが重要視されるべきで、例えば『勝手にしやがれ』の<作者>は私じゃない。トリュフォーなんだよ。」と語る。ヌーヴェルヴァーグについて「フランス人はフランスに注目が集まらないと悲しむが、ヌーヴェルヴァーグは違った。3~4人の少年が家でも学校でも教えてもらえなかった大陸があると発見したのが始まりだ。」と回想した。
また、「写真をたくさん撮っていた母から映像<イマージュ>を教わった。母は写真が上手で、子供たち皆の写真を撮っていて、それぞれがアルバムを持っていた。私のアルバムは失くしてしまったけれど、私が写っている写真も何枚か『イメージの本』の中で使っている。」と自身の源流にも触れている。

『イメージの本』においてゴダールは「私たちに未来を指し示すのは“アーカイヴ”である」という言葉を残しているが、彼は自身を「映画界の考古学者」と位置付けている。「考古学者は記録保管者(アーキヴィスト)より崇高だ。アーキヴィストは分類するが、考古学者は歴史を彫る。彫刻家はシナリオを持たずに大理石と対峙し、それから<見る>んだ。DVD がなくなるのは残念だよ。だんだん作られなくなって、Amazon で買うのも難しくなるだろう。映画の歴史もそこで終わる。配信ばかりになるだろ・・・・今まで私がやってきた考古学的なアプローチはできなくなるんだ。」さらに、「言い争いは好きだが、戦争はイヤだね。もし墓を作るなら・・・絶対に作らないけど、作るなら、私の墓には「その反対に(au contraire)」、アンヌ=マリーの墓には「疑わしい(jʼai des doutes)」と入れたい。」とユーモアをのぞかせる場面も。
最後に、「5つの章、5つの指、5つの大陸からなる最新作『イメージの本』、その中心の〝地域〟は︖」という質問に対し、「この映画の中心は、<愛>だよ。」と締めくくった。

監督・編集・ナレーション:ジャン=リュック・ゴダール/撮影・編集:ファブリス・アラーニョ/プロダクション・マネージャー:ジャン=ポール・バタジア 調査:ニコル・ブルネー
ズ 製作:ファブリス・アラーニョ、ミトラ・ファラハニ 製作協力:ハミドレザ・ペジュマン、ジョルジュ・シュケール、ナデル・モバルガ 2018 年/スイス・フランス合作/84 分/
原題:LE LIVRE D’IMAGE(英題:THE IMAGE BOOK)/© Casa Azul Films – Ecran Noir Productions – 2018 公式サイト:jlg.jp
配給:コムストック・グループ 提供:レスぺ 配給協力:REGENTS