1964年、16歳の処女短編「調子の狂った子供たち」から現在に至るまで精力的に映画を撮り続けている、ヌーヴェル・ヴァーグ以降のフランスを代表する映画監督フィリップ・ガレル(1948年~)。ガレル自身が自らの数多くの作品のなかで「自伝と台詞の時代」として区切る
*中期の代表作にして、日本初公開となる『救いの接吻』(89年)、亡き恋人ニコに捧げた、ガレル映画のひとつの頂点を成す傑作『ギターはもう聞こえない』(91年)の2作品が、4月27日(土)より東京都写真美術館ホールほかにて全国順次公開することが決定いたしました。*

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆
*『救いの接吻』*
*夫と妻、父と子、映画とともに生きることしかできない者たち*
*フィリップ・ガレルによる至高の家族映画、日本初公開!*
新作の準備を進めていた映画監督のマチューは、主役を別の女優に決めたことで、妻で女優のジャンヌから激しい糾弾を受ける…。愛の終わりとその持続について苦悩し語り合う男と女。映画監督と女優であり、夫と妻であり、また息子の父と母でもあるふたりの対話は永遠に続いていく。フランスの名匠フィリップ・ガレルが傑作『ギターはもう聞こえない』(91)の前に製作した、あるひとつの愛の物語。つねに私小説的な映画をつくりだしてきたガレルならではの、私生活と創作をめぐる果てなき問いがくりひろげられる。出演は、フィリップ・ガレル本人と当時のパートナーであるブリジット・シィ、今やフランスを代表する俳優となった息子ルイ・ガレル、実父である名優モーリス・ガレル。崩壊の危機にある家族の物語を、監督を含め実際の家族たちが演じた、至高の家族映画。本作を機にガレルと数々の名作をつくりだすことになる詩人で小説家のマルク・ショロデンコによるダイアローグは、愛の可能性と、物語の誕生の瞬間を描き出す。
—————————————————–
1989年|フランス|83分|モノクロ|原題:Les Baisers de Secours
監督・脚本:フィリップ・ガレル|台詞:マルク・ショロデンコ|撮影:ジャック・ロワズルー|編集:ソフィー・クサン|音楽:バーニー・ウィレン
出演:ブリジット・シィ、フィリップ・ガレル、ルイ・ガレル、アネモーネ、モーリス・ガレル、イヴェット・エチエヴァン
1989年ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門出品
—————————————————–

*『ギターはもう聞こえない』*
*かつて愛した人、ニコに捧げた愛の物語*
*私映画の極北にして、ガレル映画のひとつの頂点を成す傑作*
海辺の町で共同生活を送るジェラールとマリアンヌ、マルタンとローラの二組のカップル。一度は別れたジェラールとマリアンヌは、パリで再びともに暮らすが、次第にドラッグに溺れ生活は困窮を極めていく。最終的に別離を選び新しい家庭を持ったジェラールに、ある日、マリアンヌの訃報が届く。

フィリップ・ガレルが元恋人ニコの急逝直後に製作した、極めて私的なラブストーリー。ニコとの生活と破局、息子の誕生、そして突然訪れた彼女の死。かつて愛した人との記憶と死の衝撃が、美しくも残酷にスクリーンへ映し出される。自伝的な物語でありながら、俳優たちの演技と洗練された台詞によって誕生した、普遍的な愛の物語。本作は、1991年のヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞し、1964年から現在までのガレルの膨大なフィルモグラフィのなかでも、あるひとつの頂点を成すといえる傑作。撮影は、今やフランス映画には欠かせない名撮影監督カロリーヌ・シャンプティエ。前作に引き続き、マルク・ショロデンコによる印象的な台詞の数々が、陰惨で残酷な物語を美しく彩る。
—————————————————–
1991年|フランス|98分|カラー|原題:J’entends plus la guitare
監督:フィリップ・ガレル|脚本:フィリップ・ガレル、ジャン=フランソワ・ゴイエ|台詞:マルク・ショロデンコ|撮影:カロリーヌ・シャンプティエ|編集:ソフィー・クサン、ヤン・ドゥデ|音楽:ファトン・カーン、ディディエ・ロックウッド
出演:ブノワ・レジャン、ヨハンナ・テア・ステーゲ、ミレーユ・ペリエ、ヤン・コレット、ブリジット・シィ
—————————————————–

*4月27日(土)より東京都写真美術館ホールほかにて全国順次ロードショー*