福島第一原発の事故から3ヶ月後に「脱原発」を宣言したドイツ。
「なぜドイツにできて、日本にできないのか」 そんな疑問を胸にドイツに渡った坂田雅子監督が出会ったのは、都市で、村で、学校で、教会で脱原発と自然エネルギーへ情熱を燃やし、実践する多くの人々。彼らは第二次世界対戦での自国の行いを深く反省し、1968年の学生運動をきっかけに芽生えた反原発・環境保護の意識と情熱を政治に反映し、次世代につなげようと50年にわたって活動を続けていた。

権威を盲信せず、自分で考え、自ら行動を起こし続けるドイツ市民の戦後の軌跡から浮かび上がるのは、私たち一人ひとりの日々の暮らしの 中にある「選択」と「行動」が秘めている大きな可能性だった———。

本作の公開にあたり、坂田雅子監督が発表したコメントは以下の通りです。

■監督:坂田雅子
福島第一原発事故を経験した私たちは、これからどこへ向かえばいいのか? 
答えを求めて、私はドイツを目指しました。脱原発を宣言し、自然エネルギーの先端を行くドイツ。そこに明日へのヒントがあるのではないかと思ったのです。

70年代にはドイツでも多くの原子力関連施設の建設計画がありました。各地で起こった抵抗運動の推進力となったのは1968年世代の学生たちで、彼らはのちに緑の党という政党の誕生に深く関わることになりました。そして、多くの人が環境問題、反原発の運動を継続してきました。権威に服従せず、自分で考え自分の足元から始める。過去に目をつぶらず、過去の反省から将来のあるべき姿を倫理的に考える。ドイツを脱原発に導いたのはメルケル首相の力だけではなく、50年来のドイツ市民の草の根の運動があったからなのです。

日本とドイツ、簡単には比べられませんが、私たちがドイツに学び、実践できることはきっとあります。ドイツの旅は、小さな私たちが世界を変えることができるのだという勇気を与えてくれました。「私」の小さな一歩が大きな変化に結びつくのです。その思いをこの映画を通して皆さんと分かち合いたいと思います。

Morgen, 明日に希望を持ち、そこへ向かってともに一歩を踏みだしましょう。

また、各界から映画に寄せられたコメントは次の通りです。

■加藤登紀子(歌手)
深い絶望を、命の未来に繋げていこう。混迷に踏み込んだまま、歯がゆい失望感を抱え込んでいる今こそ、この作品を見て下さい。日本でも出来ることがあるはず! 日本でも何かが動き出しているはず!どんな時も明日に向かう命の力を、見失わないために。

■吉田照美(フリー・アナウンサー)
最近、「タクシー運転手」を観て、民主主義を勝ち取った韓国国民の逞しさ、「万引き家族」を見て、今の日本の政治の酷さを痛感。そして、「Morgen明日」には、ドイツ国民が国と闘いながら、国を自然エネルギーに変えさせて行く正しい国民の有り様を、坂田雅子監督が冷徹に映画に収めてくれた。今こそ、日本人全員が、この映画を観て、愚劣な政治家と大企業の経営者たちに引導を渡す決意を持たなければいけないタイミングだと思う。

■木村結(原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟事務局次長)
地球環境を語り、自然エネルギーを語る映画も増えた。しかし、「Morgen、明日」はそのどれとも異なる。プロパガンダ映画でもなく、観る者に現実を突きつけ答えを迫る映画でもない。映画から滲み出てくる坂田雅子監督の生き方に魅了されてしまった。

■河合弘之(映画監督・弁護士)
涙が出ました。感動の涙と悔し涙です。私の映画「日本と原発」「日本と再生」で描き得なかった前史(ドイツの脱原発、自然エネルギーの)と、未来図(使用済核燃料の処理、自然エネルギー100%への展望) が描かれています。日本とドイツの違いがよくわかりました。しかし私たちも、近い将来、ドイツに追いつけると思います。


<『モルゲン、明日』に関する情報>

■公開情報 :2018年12月14日(金)〜20(木)アップリンク吉祥寺にて公開(※劇場オープニング作品)
       2018年12月22(土)〜28(金)アップリンク渋谷にて公開

■公式サイト :http://masakosakata.com/

■作品クレジット
ドキュメンタリー/71分/BD/2018年/日本/日本語、英語、ドイツ語
©2018 Masako Sakata