絵画ファンとミステリーファンを熱狂させた世界的ベストセラー本を英国が誇る最高のスタッフ・キャストで映像化した、『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』が10月6日(土)より公開となります。本作は、「フェルメールの絵画の世界を小説にしたい」という原作者の思いから生まれたベストセラー小説を『ブーリン家の姉妹』のチャドウィック監督と『恋におちたシェイクスピア』でアカデミー賞®を受賞したトム・ストッパードの脚本により映画化。ソフィアを演じたアリシア・ヴィキャンデルは「真珠の耳飾りの少女」をオマージュした衣装や、フェルメール・ブルーのドレスをまとい、清楚だが身の内に熱い想いを秘めた女性を体現しています。若く美しい画家のヤンには、『アメイジング・スパイダーマン2』のデイン・デハーン。そのほか夫のコルネリス役にクリストフ・ヴァルツ、チューリップを栽培する修道院の院長役にはジュディ・デンチなどのオスカー俳優たちが名優の称号にふさわしい演技で観る者を物語へと引き込みます。

今回解禁するのは、本作の舞台となる17世紀オランダ・アムステルダムで実際に起こった「チューリップ・バブル」が、どういうバブルであったのかが分かる本編映像となっています。日本ではあまり知られていませんが、「チューリップ・バブル」は世界最大にして最古の経済バブルです。
17世紀初頭、オランダにやって来たチューリップは、富の象徴とされていました。東西ヨーロッパの通商ルートが開通したことで、社会の特権階級層が出現し、その収入で美しいチューリップを買い漁る中で、より珍しい変種を求める欲求が高まり、取引されるようになりました。本映像でも分かるように、やがてチューリップの投機家たちは、取引場所として酒場の奥の部屋を使うようになり、人々は我を忘れてチューリップを手に入れようとしました。金持ちや貧乏人関係なく、皆が大枚はたいて投機に熱中し、球根の値は上がり続けました。
中でも最も貴重だと言われた、繊細で優美な模様のセンペル・アウグストゥスという品種の球根には、1万ギルダーの値がついたと言われています。その価格は、当時の庶民の年収の67倍。今の日本の平均年収で換算すれば、「3億円」ほどにもなります。
バブル経済に共通するのは、人々の熱狂です。儚い花【チューリップ】に全てを賭けたのが、「チューリップ・バブル」であり、その儚い花【チューリップ】によって人生が変わってしまった人たちの姿が本作ではドラマティックに描かれます。

「フェルメールの世界を小説にしたい」という思いから生また物語を映画化
チューリップの球根が邸宅一軒分だった、世界最古の経済バブル
若き肖像画家が恋に落ちた相手は、依頼主の妻だった愛を貫くため、才能と引き換えにすべてを花に賭けた
舞台は、スペインから独立し「黄金時代」と呼ばれた17世紀オランダ。人々は、投資や収集に熱をあげており、なかでも“絵画”と“チューリップ”が2大ブームだったという。希少な品種の球根1個が邸宅1軒分に相当し、世界最古の経済バブルとして知られる「チューリップ・バブル」がピークを迎えていた。
親子のように年の離れた、裕福なコルネリスと結婚したソフィア。二人の間に燃えるような愛はなかったが、孤児となり修道院で育った彼女にとって、それは初めて味わう豊かで安定した暮らしだった。夫は優しく特に不満もなかったが、彼が切望する跡継ぎができないことが、唯一の悩みだった。そんななか、夫が夫婦の肖像画を、無名の画家のヤンに依頼する。キャンバス越しに見つめ合うヤンとソフィアが、恋におちるのに時間はかからなかった。若く情熱的な画家と、許されない愛を貫きたいと願ったソフィアは、ある計画を思いつく。しかし、ヤンが二人の未来のために、希少なチューリップの球根に全財産を投資したことから、思わぬ運命が立ちはだかる──。

本作で描かれる17世紀オランダ
世界最古の経済バブル チューリップバブルとは?

◆本作で描かれる、世界最古のバブル チューリップ・バブルとは?
「チューリップバブル」とは1636~37年のオランダで発生した、世界最古のバブルで、世界3大バブルとも言われています。
当時のオランダはスペインとの独立戦争で、勝利をほぼ手中に収めていました(正式の独立は1648年)。国民の気持ちが高揚していたところへオスマントルコからチューリップが持ち込まれ、たちまちブームになりました。チューリップは突然変異の起こりやすい品種ですが、球根の段階ではどんな花が咲くのかわかりません。人々は突然変異を求め、次第に高値で球根を買い求めるようになりました。球根を買う人が増え、それに合わせて価格が高騰、球根に興味がない一般の人までも球根を求め、価格は止まることを知らず、とうとう球根と家とが同じ価格になりました。
球根の品薄状態も手伝い、翌年の収穫を予約するありさま、これが先物取引です。
手付金を渡して来年の球根を手にする権利を買う、これがオプション取引です。
現金が要らない手形の先物取引だったので、歯止めがきかなくなったのでしょう。そうして1637年2月3日、バブルは突然弾けます。球根の価格は瞬く間に数十分の1になり、不渡りの手形が山ほど出てきたと言います。
必ず上がると見込んで、自宅を抵当に入れてお金を借りて球根を買った人もいました。世の中はパニック状態となりました。

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◆3億円のチューリップとは
オランダでは、チューリップが「金」よりも高値で取引されていた時代がありました。チューリップがトルコからオランダに初めて輸入されたのは、1593年。ヨーロッパには珍しい大きく色鮮やかに咲く花であったことから、チューリップは植物学者や上流階級の間でブームに。そのあまりの人気で価値が上がりすぎ、幸か不幸かチューリップは投機の対象となっていきました。
チューリップは、色と縞模様で識別されていて、当時高い値がついたのが、花びらに斑の入る「ブレイカー(色割れ)」と呼ばれるもの。のちにこの現象はウイルスによるものだと判明しますが、当時はなぜこのようなことが起こるのか分かっておらず、またウイルス感染により株が弱り、栽培が難しいことから、このような希少な球根は高値で取り引きされました。中でもごくわずかしか存在しないと言われた、繊細で優美な模様のセンペル・アウグストゥスという品種の球根には、1万ギルダーの値がついたと言われています。その価格は、当時の庶民の年収の67倍。今の日本の平均年収で換算すれば、「3億円」ほどにもなります。
栽培家らは、新品種に対し高貴な品種名を付け、初期の新品種はAdmirael(提督)という接頭辞にしばしば栽培家の名前を組み合わせたものでありました。本作でも、【マリア提督】という品種が物語の鍵を握ります。
数億円の値がついたセンペル・アウグストゥス。人々を魅了した赤と白の斑模様は、ウイルスに侵されたための病の症状だったといいます。センペル・アウグストゥスの球根は、ウイルス病のために、殖やすことは叶わず、いずれ枯れて消える運命にあったのでした。まさに「薄幸の美」。バブルにふさわしい逸話であります。

◆現在のセンペル・アウグストゥス
3億円の価値と言われたセンペル・アウグストゥスですが、現在はウイルス病に罹ったチューリップは品種として認められておらず、売買の取引が禁止されています。販売されることはないため、現在は一般的に手に入れることのできない幻の花となっています。
※現在日本で流通しているセンペル・アウグストゥスに似た斑入り模様のチューリップは、品種改良によって作られたものです。

出演:アリシア・ヴィキャンデル デイン・デハーン ジュディ・デンチ クリストフ・ヴァルツ マシュー・モリソン ジャック・オコンネル カーラ・デルヴィーニュ ザック・ガリフィアナキス
監督:ジャスティン・チャドウィック「ブーリン家の姉妹」
原作:デボラ・モガー 「マリーゴールドホテルで会いましょう」「プライドと偏見」
脚本:デボラ・モガー、トム・ストッパード「恋に落ちたシェイクスピア」
製作:アリソン・オーウェン「エリザベス」
© 2017 TULIP FEVER FILMS LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
提供:ファントム・フィルム、ハピネット 配給:ファントム・フィルム (2017年/アメリカ、イギリス/105min/5.1ch/スコープサイズ)