天才シェフ、レネ・レゼピに4年間密着したドキュメンタリー映画『ノーマ、世界を変える料理』。本作の監督ピエール・デュシャンからコメントが到着しました。
本作は、英国のレストラン誌が選ぶ「世界ベストレストラン 50」第 1 位にこれまで 4 度輝いたデンマーク・コペンハーゲンのレストラン「ノーマ」を創業し、美食界に新風を巻き起こした天才シェフ、レネ・レゼピに密着したドキュメンタリー。北欧独自の洗練された斬新なレシピの数々を生み出すべく、休むことなく探求を続ける、レネの人生哲学を追う。
ピエール・デュシャン監督が長編デビュー作となる本作と 4 年間密着した「ノーマ」の天才シェフ、レネ・レゼピの魅力を語りました。

この映画をとることになったきっかけは「Looking North for a Gastronomic Revolution(原題)」(08)という、北欧の食をテーマにしたドキュメンタリーを撮影するため「ノーマ」を訪れたことがきっかけで、そこでレネの人間的な魅力に触れ、今回のコラボレーションがスタートすることになった。「彼はとてもチャーミングな人で、他人が彼の世界を訪れるのをとても歓迎してくれた。彼の情熱的な口調のなかにそれが感じられた。そして僕自身、彼のレストラン、彼がしていることをみて、この男は食の世界で何かを変えると直感したんだ。そして彼はそれをやり遂げた。2010 年、2011 年と世界べストレストラン 50 のナンバー1に選ばれ、スカンジナビアン・フードを世界に紹介した。だからそういう純粋な興味、そして彼のチャレンジがとても美しいと思えたことが理由だ」

長い時間を「ノーマ」チームと一緒に過ごすうちに、彼らを家族のように感じていたと言うデュシャン監督。撮影で印象的だった点については「彼のクリエイティブな面にも感銘を受けた。彼が料理人たちを指揮して、これをやったらどうか、これが足りないのではないか、と試行錯誤をしている様子。
レネは彼らにとっていわば父親的存在で、それはとても興味深かった」と話した。

また、4 年もの時間、密着してきたデュシャン監督から見たシェフ、レネ・レゼピの魅力について「彼はいまだに子どもみたいなものだ。子どもでいることを必要としている。ちょっとわがままで、いつも何かを訴えたいと思っている。いい意味でちょっと傲慢なところがあって、好奇心旺盛で、大きな心を持っている。そしてとても繊細だ。そしてつねに今以上に進歩したいと思っている。彼はアイデアマンで、そしてとてもユニーク。そのユニークさゆえにノーマがあるんだ。」
最後にデュシャン監督から日本の観客に向けて、メッセージを聞いた。「レネは日本の伝統、日本料理にとても影響を受けているんだ。古くからの調理法や森の食物などに関して。ノーマの料理に日本の影響があるとわかったら、日本の皆さんにも映画を観て喜んでもらえるんじゃないかな。」

■監督・撮影
ピエール・デュシャン PIERRE DESCHAMPS
フランス出身。90 年代始めから、テレビ業界で活躍。2007 年にショート・ドキュメンタリー「Looking North For A Gastronomic Revolution(原題)」(08)を撮影するため「ノーマ」を訪れた事がきっかけで製作することになった『ノーマ、世界を変える料理』は、デュシャンにとって初の長編映画。第 63 回サン・セバスチャン国際映画祭のキュリナリー・シネマ部門で TOKYO GOHAN AWARD(最優秀作品賞)を受賞した。イギリスのブライトンを拠点に活動し、プライベートでは、本作のプロデューサーでもある妻のエタ・デュシャンとの間にカシウス、ルー、ナマステの 3 人の子どもがいる。

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執筆者

Yasuhiro Togawa