新宿武蔵野館ほか順次公開となるイラン映画『ボーダレス ぼくの船の国境線』の公開初日が10月17日(土)に決定致しました。

<子どもたちの繊細な演技と豊かな表情が織りなす瑞々しいイラン映画の新星>
本作はイラン国内で50本以上の映画やテレビシリーズで助監督を務めてきたアミルホセイン・アスガリの待望の監督デビュー作。デビュー作ながら、プロの役者でなく地元に住む素人の子供たちを起用することで、彼らの豊かな表情と身振りを見事に描きだしてみせた。監督アドバイザーにアボルファズル・ジャリリ(『少年と砂漠のカフェ』)が名を連ねる。これまで、アッバス・キアロスタミ(『友だちのうちはどこ?』)やアミール・ナデリ(『駆ける少年』)など、子どもを主人公に据えた数々の名作映画を生み出してきたイラン映画史に、またひとつ、心震える傑作が誕生した。昨年の東京国際映画祭でプレミア上映され、観客に深い感動と涙を誘い「アジアの未来」部門作品賞を受賞。イラン映画の新たな才能として、いまもっとも注目される監督である。

<一艘の古ぼけた船に住む少年と、侵入者たちの言葉を越えた交流を描く感動作>
イランとイラクの国境付近の川に浮かぶ船を舞台に、それぞれペルシャ語、アラビア語、英語を話す登場人物は、最初から最後まで言葉によるコミュニケーションをとることができない。1980年代のイラン・イラク戦争後、今もなお紛争が続く中東の厳しい現実がリアルに描かれる一方で、時代設定や彼らの国籍、年齢について、映画は多くを語ろうとしない。異なる世界を生きる人々の言葉を越えた交流は、まるで現代の寓話のように私たちの心に強く訴えかける。

この度、絵本「せんそうしない」(江頭路子 共著 講談社)、詩集「あたしとあなた」(ナナロク社)を発表した谷川俊太郎さんから、胸に迫る映画のラストシーンに向けてコメントをお寄せいただきました。

どんな感傷も入り込む余地のない結末…見終わったあと人を沈黙させる映画です。

谷川俊太郎

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執筆者

Yasuhiro Togawa