日本映画の次世代を担う、新しい才能の発掘プロジェクト発進!第一回作品は、真利子哲也の『イエローキッド』
日本映画の次世代を担う監督を発掘し、全国の劇場にてその作品を広く公開するプロジェクト
「New Director/New Cinema 2010 by シネマ・シンジケート」が発足しました。
New Director/New Cinemaはその年、今後の活躍が最も期待される新人監督をシネマ・シンジケートの加盟館を中心とした全国の映画館の方々の推薦により選出し、今年創設された「映画館大賞」(http://eigakantaisho.com/)に参加した全国の独立系映画館を中心とした広いネットワークで全国公開していくという新しい試みです。選出される監督の数に制限はなく、該当者のいない年は推薦作品がないということもあり得る、精鋭監督を発掘するプロジェクトです。
第一回作品に選ばれたのは、国内外の数々の映画祭での受賞歴があり、短編映画の旗手と話題を呼んでいる真利子哲也の長編劇場デビュー作『イエローキッド』。ボクサーを目指す青年の日常が気鋭の漫画家の新作「イエローキッド」のストーリーと同時進行でクロスしていく、緊張感溢れる二焦点活劇です。キャストには、「クローズZERO」で重要な役柄を務めた遠藤要、「パッチギ!」「クローズZERO」「ドロップ」など、話題の日本映画には欠かせない存在の波岡一喜など、新世代のパワーある俳優達が集結。まさに日本映画の未来を切り拓く作品です。
■ 『イエローキッド』 ストーリー ■
認知症を患った祖母と二人きりで貧しい暮らしを送っているボクサー志望の青年田村。「イエローキッド」というタイトルの新作マンガを描こうと計画している新進気鋭のマンガ家服部。ある日、服部が田村を主役「イエローキッド」のキャラクターモデルに決めたことで、彼らの日常は激しく動き出していく。服部はそのマンガの取材過程で、かつての恋人麻奈が、新作の敵対するキャラクター「ブラッディ・サン」に想定していた三国の子供を妊娠していることを知り、三国に対する憎悪が沸騰する。
─そんなある日、服部は妙なことに気がつく。田村の行動が自分の描いたマンガのストーリー通りになっているのだ。服部は自分の書いた物語通りに、田村が「ブラッディ・サン」こと三国を殺そうと考えているのではと疑い始める…。
■ 真利子哲也監督 プロフィール ■
1981年東京生まれ。2003年に短編『極東のマンション』が外国も含め18の映画祭から招待され、ゆうばり映画祭オフシアター部門グランプリをはじめ、7映画祭で受賞したことで一躍注目を浴びる。翌年に発表した短編『マリコ三十騎』は、オーバーハウゼン国際短篇映画祭・映画祭賞を受賞、ロッテルダム映画祭など19の映画祭から招待され、9映画祭で賞を獲得して国内外から高い評価を受ける。東京芸術大学大学院の修了作品で初の長編『イエローキッド』がバンクーバー映画祭に招待され、アジア新人監督賞にノミネートされた。
『イエローキッド』
2009年バンクーバー国際映画祭招待作品
監督・脚本=真利子哲也
出演=遠藤要、岩瀬亮、町田マリー、波岡一喜、玉井英棋
2009/日本/106分/1:1.85/ステレオ
配給/ユーロスペース
『2010年2月上旬、ユーロスペースほか全国順次公開
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執筆者
Yasuhiro Togawa