ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントは、「TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ <ファースト・シーズン>」を、2016年4月20日ブルーレイ&DVDリリースいたします。

本作は、「ゲーム・オブ・スローンズ」など数々の傑作ドラマを生み出してきた米人気放送局HBO が、マシュー・マコノヒー、ウディ・ハレルソンという2大映画スターを配し、満を持して贈る超一級の緊迫クライムサスペンスです。

そのクオリティの高さで、2014年のエミー賞5冠に輝いた本作の魅力を、毎回異なる評論家やライターが解説いたします!

第1回目となる今回は、
”映画評論家 町山智浩”が語る本作の魅力をご案内します。

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     ニュースリリース:重大犯罪捜査ファイル<Vol.1>
         〜ホットトピックスをお届け〜
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         映画評論家 町山智浩が語る
  「TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ」の魅力
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70 ㎜フィルムで撮られたピントの浅い、夢のような映像。拷問された女性が頭に鹿の角をつけた死体で発見される。周囲には木の枝で作った魔除けが飾られていた。
「TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ <ファースト・シーズン>」はこの儀式殺人を追う刑事コンビの物語。
舞台はルイジアナ州のメキシコ湾沿岸。ニューオリンズの近くだ。
これは一種の「南部ゴシック」だ。アメリカ南部はバイブル・ベルトと呼ばれ、聖書を字義通りに信じるキリスト教福音派が多いが、奴隸がアフリカから持ち込んだ呪術がカトリックと混じりあったブードゥーやサンテリア、ヨーロッパ古来のまじない、いわゆるウィッチクラフトなどが混在する。木の枝で作った人形や魔除けは『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(99 年)にも出てくるようにウィッチクラフトにもあるが、ブードゥーにもある。そんな迷信や因習に支配された神話的でグロテスクな南部の物語が南部ゴシックで、最近ではコーマック・マッカシーの「血と暴力の国(映画『ノーカントリー』原作)」や、ダニエル・ウッドレルの『ウィンターズ・ボーン』などがある。
しかし、ラスト刑事(マシュー・マコノヒー)だけは異分子だ。相棒のハート刑事(ウディ・ハレルソン)にこんな話をする。
「人間の自意識は進化の失敗だった。人間は自己という幻のために苦悩する。我々は意味のある存在だと信じているが、実際は何者でもない。子孫を作るのはやめて、仲良く絶滅すべきだ」
ラストのセリフは押井守監督『イノセンス』で繰り返し語られる哲学とほとんど同じ。ラスト(錆という意味)はある悲劇によって心が錆びついてしまっているのだ。
「口の中に嫌な味がする。サイコスフィア(精神圏)の匂いだ」
サイコスフィアはヌースフィア(叡智圏)ともいう。ソ連の原爆開発のメンバーでもあった科学者ウラジミール・ベルナルドスキーが1920 年代に唱えた考えで、簡単にいうと人類の知性の集合体のこと。ふつう刑事が口にする言葉ではない。しかも、その後、ラストは色を味として感じると告白する。これはシナスタジア(共感覚)と呼ばれる現象で、音を色として感じたり、形に味を感じたりする人がいるという。
これは見たことのないドラマになるぞという期待を裏切らず、殺された女性ドーラのノートから「黄色の王」という言葉が発見される。
ここでホラーやアニメのオタクは仰天するだろう。そう、「黄衣(こうい)の王」なのだ!
ドラマ内では説明がないが、King in Yellow とは、ロバート・W・チェンバースという作家の短編集『黄衣の王』(1895 年)に登場する謎の邪神で、日本のアニメにまで登場する有名キャラである。『黄衣の王』から、詞の一節がドーラのノートに引用されている。
「二重太陽が湖に沈み/カルコーサに影が伸びる」

★2016年4月20日 ブルーレイ&DVDリリース!

「TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ <ファースト・シーズン> コンプリート・ボックス」
ブルーレイ(¥11,300+税)/DVD (¥9,400+税)
レンタルDVD  Vol.1〜Vol.4

発売・販売元:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

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【TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ公式サイト】
http://truedetective.jp

執筆者

Yasuhiro Togawa