この度、第二次世界大戦下、ドイツ軍に制圧されたパリを舞台に“パリを守りたい”スウェーデン総領事と、“破壊を命じられた”ドイツ軍将校との攻防を描いた名匠フォルカー・シュレンドルフ監督による映画「Diplomatie(原題)」が2015年3月、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開の運びとなり、邦題が『パリよ、永遠に』に決定いたしました。

時は1944年8月25日未明。パリの中心部に位置するホテル ル・ムーリスにコルティッツ将軍率いるドイツ軍が駐留していた。ヒトラーからの命を受け、コルティッツはパリ掃討作戦を進めていた。それは、セーヌ川に架かる橋の数々、ノートルダム大聖堂、ルーヴル美術館、オペラ座、エッフェル塔…パリの街の象徴でもあり、形作る建造物すべてを爆破するというものだった。そこへ、パリ生まれパリ育ちのスウェーデン総領事ノルドリンクが、パリの破壊を食い止めようと説得にやってくる。ドイツ軍を撤退させ、何としてでもパリの街を守りたい総領事。一方、妻子を人質に取られ作戦を実行せざるを得ないドイツ軍将校。長い一夜の話し合いが始まる—。
シリル・ゲリーによる戯曲“Diplomatie”を、「仏独の和解なくして、今のヨーロッパはない」と語る名匠フォルカー・シュレンドルフ監督が映画化。シュレンドルフは「もしパリが破壊されていたなら、フランスとドイツの結束が生まれたか、またヨーロッパが立ち直れたか?」と疑問を呈し、パリ解放から70年を経た2014年にメガホンを執ることに。ドイツ人ながらフランスで育ちパリを愛するシュレンドルフだからこそ、今、パリがあることへの感謝をこの作品に託し、作戦実行までのたった数時間に起こる総領事とドイツ軍将校との、時に緊迫した攻防、時にウィットに富んだ駆け引きとをテンポ良く切り取り、見事な演出で紡いだ。スウェーデン総領事ノルドリンクとドイツ軍将校コルティッツにはそれぞれフランスが誇る至宝アンドレ・デュソリエとニエル・アレストリュプ。シリル・ゲリーによる戯曲から続くコンビで、本作の物語も各々のキャラクターも知悉した二人だからこそのアンサンブルに、スクリーンから目が離せなくなる。

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執筆者

Yasuhiro Togawa