7月18日より公開された映画『複製された男』は、なぜかその難解さで受けている! マスコミ試写でも答えが分からない人が続出したために、公式サイトに公開前に掟破りの袋とじのネタバレレビューサイトまで設けるという型破りな宣伝手法が受けて、映画は公開から満席が続出する大ヒットを記録中。

主演のジェイク・ギレンホールが難しい一人二役を演じていることが高い評価を得ているなか、母親役でデイヴィッド・リンチのミューズ、イザベラ・ロッセリーニをはじめ、大学講師アダムの恋人役で濃厚なラブシーンを演じたメラニー・ロラン、俳優アンソニーの妻役で美しい妊婦姿を惜しみなく披露しているデヴィッド・クローネンバーグ監督常連女優、サラ・ガドンなど美貌の女性陣にも注目が集まっている本作。難解だと言われる映画に参加した彼女たちが、それぞれ独自の見解を披露した!

イザベラ・ロッセリーニ(アダムの母役・キャロライン)「この映画は、台詞がとても巧みに書かれていて、絶妙な曖昧さが保たれているの。息子はもう一人の自分が現れたという事態をはっきりさせるために母親を訪ねて来るのだけれど、私は「あなたには兄弟はいないわ。あなたは一人っ子だからその人が双子の可能性はないわ」と言って、彼の唯一の合理的な答えを否定するの。「それで瓜二つの人物がいることに対する彼の合理的な説明は出来なくなってしまうのよ。でも彼女はアダムとアンソニー、両方の人物に当てはまるような事を言うからだんだんと観ている観客は混乱してくるのよ」 と、息子を悩ませる自らの怪しい台詞を楽しんでいるようだ。

メラニー・ロラン(アダムの恋人役・メアリー)「『複製された男』はとても複雑な話なのよ。主人公は自分と瓜二つの男と出会うけれど、本当に対峙しなければいけない相手はもしかしたら自分自身かもしれなくて、瓜二つの二人は各々の中でとても複雑な葛藤と戦わなければいけないの。私はこの映画は、お決まりの単純なラブストーリーなんかより人生で巻き起きる様々な事を象徴しているように思うわ」 と、映画に共感を覚えている。

サラ・ガドン(アンソニーの妻役・ヘレン)「夫に理想の男性でいてほしいけど、彼は元々そんな人じゃない。でもある日帰宅した夫が、まさに理想の男性に変わっていた。目の前に夢にまで見た男性が立っていたら、その他のことはもうどうでもいいと思えるものよね。女性にとってこの考え方はとても分かり易いから、私も初めて脚本を読んだ時に、元カレが突然私の家に現れて、その日だけでも私の理想の男性になっているとしたら、もうそれで全てが変わるんだろうなって考えながら演じたの」 と、アダムとアンソニーという二人の男性と接する複雑な役を演じるためのアプローチを明かした。

女優達は、それぞれ難しい設定の役を与えられたことを楽しんで演じたようだ。女は強い!もしかすると、これが難解さで受けている『複製された男』の本当の答えかもしれない。

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執筆者

Yasuhiro Togawa