あなたは、これを愛と呼べるだろうか—

愛する妻を亡くした形成外科医が及ぶ究極の行為。
それは、ある人物に“完璧な肌”を移植し、妻の代役を創り上げること・・・。

第69回ゴールデングローブ賞 最優秀外国語作品賞ノミネート
第64回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門正式出品作品
★ワシントンDC映画批評家協会賞外国語映画賞受賞 ★フロリダ映画批評家協会賞外国語映画賞受賞
★インディアナ映画ジャーナリスト賞外国語映画賞受賞 ★フェニックス映画批評家協会賞外国映画賞受賞

空前絶後のオリジナリティに満ちあふれ、カンヌ映画祭で衝撃と熱狂を
呼び起こした巨匠ペドロ・アルモドバル監督最新作。

天才的な形成外科医ロベルは、画期的な人工皮膚の開発に執念を燃やしていた。彼が夢見るのは、かつて非業の死を遂げた最愛の妻を救えるはずだった“完璧な肌”を創造すること。あらゆる良心の呵責を失ったロベルは、監禁した“ある人物”を実験台にして開発中の人工皮膚を移植し、今は亡き妻そっくりの美女を創り上げていくのだった……。
『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー』『ボルベール〈帰郷〉』の“女性賛歌3部作”を始め、深遠にしてバイタリティ豊かな愛の物語を次々と世に送り出し、希代のストーリーテラーの地位を揺るぎないものとしたペドロ・アルモドバル。このスペインの巨匠が放つ『私が、生きる肌』は、かつて誰も観たことのないオリジナリティに満ちた究極の問題作。愛に狂わされ、神をも恐れぬ禁断の実験に没頭する男と、このうえなく数奇な運命をたどるヒロインの姿を、めくるめく官能と戦慄に彩られた映像美の中に紡ぎ出す。はたしてそれは崇高なる愛の奇跡か、それとも狂気に駆られた悪魔の所業か。すべての答えは、比類なきほど異様な運命をたどる男と女の行く末を見届けた観客に委ねられている。
初期作品の倒錯的なエロス&バイオレンス、先鋭的なファッション感覚を鮮やかに甦らせたアルモドバルは、それらのエッセンスを『ライブ・フレッシュ』『オール・アバウト・マイ・マザー』以降の熟成した語り口と見事に融合。さらに『顔のない眼』『フランケンシュタイン』『めまい』といった往年の名作へのシネフィル的目配せも織り交ぜ、まさしく映画作家アルモドバルの約30年に及ぶ華々しいキャリアの集大成的な作品となった。

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執筆者

Yasuhiro Togawa