11月20日(土)〜11月28日(日)まで有楽町朝日ホールを中心に開催していた、世界が最も注目する作品をいち早く上映する国際映画祭「第11回東京フィルメックス」が、大盛況のうちに幕を閉じました。

そして最終日である28日(日)に、第11回東京フィルメックスコンペティション部門審査員は以下の作品に賞を贈りました。

■最優秀作品賞
『ふゆの獣』(内田伸輝/日本/2010年/92分/DVCAM/カラー)

副賞として賞金100万円が監督に授与されます。

受賞理由;
審査員は、内田伸輝監督の『ふゆの獣』をグランプリ作品に決定しました。本作は映画的手法を用いて心理ドラマを類いまれなる強烈なレベルへと発展させています。特にカメラの使い方が際立っており、俳優たちの演技も同様に素晴らしいものです。また審査員は、この作品が非常に限られた予算のなかで大きな表現力を極めていることも高く評価します。

○受賞者コメント
内田伸輝監督:
「誰がこの結果を予想したでしょうか…他のコンペ作品を見るたび、非常に勉強になりましたし、これは凄いな、と思っていましたので、自分の作品が選ばれるなんて予想してなかった。僕は結果をまったく予想していなかったので、ただ映画祭の最終日を思い切り楽しもうと思って、フィルメックスTシャツを着てきました(笑)。ほんとうにびっくりしています。この映画は完全な自主映画です。自己資金で作りました。当然配給のことも考えず、自分たちのやりたいことをやろうと思って作りました。これから自分たちで宣伝して、どこかで良い形で上映できれば、と思っています。出演者とスタッフに感謝します。出演者の方々の演技はとてもレベルが高いもので、これから活躍してほしい皆さんです。ありがとうございました」

■審査員特別賞 コダック VISION アワード
『独身男』(ハオ・ジェ/中国/2010年/94分/HD/カラー)

副賞としてコダック株式会社より8,000米ドル相当の生フィルムが監督に授与されます。

受賞理由;
審査員は、ハオ・ジェ監督の『独身男』に審査員特別賞「コダックVISIONアワード」を授与します。監督と、自身に近い役柄を演じる村人たちとの間のコラボレーションから育った高い有機性と、中国の農村に存在する人間の性欲と社会問題を中立的な視点で描いていることを評価します。

○受賞者コメント
ハオ・ジェ監督:
「とても緊張しています。10本のコンペティション作品を拝見して、僕のよりずっと良い作品ばかりだと思っていました。本当に東京フィルメックスに感謝しています。また、僕を支えてくれた人、撮影に関わった人に心から感謝しています。このような励ましの賞を頂いたことは、僕のような新人監督にとっては次の作品と撮る力となるものです。また、僕らのようなスタイルで映画を作っている人々にも意義のあることだと思います。映画祭に参加している多くの監督たちにも感謝し、最後に審査員の皆さんにお礼を申し上げます」

—————————————————
■第11回東京フィルメックス コンペティション審査員:
ウルリッヒ・グレゴール(審査委員長/ドイツ/ベルリン映画祭フォーラム部門創設者)、アピチャッポン・ウィーラセタクン(タイ/映画監督)、ニン・イン(中国/映画監督)、白鳥あかね(日本/スクリプター、脚本家)、リー・チョクトー(香港/香港映画祭アーティスティック・ディレクター)
—————————————————

■東京フィルメックス ネクスト・マスターズ最優秀企画賞
「Ilo Ilo」(アンソニー・チェン/シンガポール)

副賞として賞金30万円が参加者に授与されます。

スペシャル・メンション
「IT MUST BE A CAMEL」(シャーロット・リム・レイ・クエン/マレーシア)

★公式サイト::http://www.filmex.net 

執筆者

Naomi Kanno