1964年に雑誌「ガロ」にて連載がスタートし、以降「週刊少年サンデー」、「ビッグコミック」と40年以上に渡って描き継いでこられた白土三平氏の『カムイ伝』シリーズは、自然や社会を総体として語るような大きなテーマ性と、高いエンターテイメント性を両立させた大河コミックとして知られています。

その『カムイ伝』は、全体として三部構成であることが予告されていましたが、ビッグコミック2000年4月10日号で『カムイ伝 第二部』が終了して以降、白土三平氏はコミック雑誌連載をお休みされ、第三部の構想を練られていました。そして今回、映画「カムイ外伝」(9月19日公開)の公開を期に、「『カムイ外伝』の新エピソードならば」、ということで新作執筆に着手されました。

白土作品をご愛読いただいている皆様の最大の希望は、もちろん第三部の連載開始とは重々承知しておりますが、そこに至る過程で生じた空白期間の「渇き」を癒やす久々の白土作品として、多くの方々に手にとっていただきたいと思っております。

【『カムイ伝』と『カムイ外伝』について】
『カムイ伝』(『カムイ伝 第二部』発表以降は『カムイ伝 第一部』とも呼称されており、ここでも弁別のため『カムイ伝 第一部』と表記します)は、雑誌「ガロ」にて7年に渡って連載された大河コミック。

『カムイ外伝』のスタートは、この間に「週刊少年サンデー」にて平行して連載された今で言う「スピンオフ作品」でした。『カムイ伝 第一部』の主人公カムイに焦点を絞り、抜け忍カムイが追っ手と戦いながら逃亡を続けていくストーリーで、少年向けの味付けになっています。

この『カムイ外伝』が、その後「ビッグコミック」に連載の場を移し、大人向けの作品として再開します。さらに『カムイ外伝』の連載終了後に、おなじく「ビッグコミック」で『カムイ伝 第二部』が連載されました。

【映画を鑑賞された白土三平氏のコメント】
「初めて生身の、本物のカムイと会ったような気がする。それをひしひしと感じる。」

【白土三平氏 プロフィール】
1932年、東京生まれ。プロレタリア芸術運動の組織者である画家・岡本唐貴を父に持ち、国家的な思想弾圧を幼年期から体験する。戦後まもなく紙芝居作家となり、紙芝居の衰退とともに貸本漫画の作家となる。

1959年より出版された長編「忍者武芸長 影丸伝」によって文化人・知識人に賞賛を浴びる。1964年に「ガロ」創刊にかかわり、「カムイ伝」を連載。
1975年より「ビッグコミック」誌上で「神話伝説シリーズ」を、1982年より「カムイ外伝」を、1988年より「カムイ伝第二部」を連載。

そして2009年、「カムイ伝」シリーズ久々の新作を「ビッグコミック」に発表のため、執筆活動を本格的に再開した。

http://www.kamuigaiden.jp/
9月19日(土)全国ロードショー

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=46098

執筆者

Yasuhiro Togawa