★第366回現代中国映画上映会★
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●上映作品:《狼火は上海に揚る》
 1944年中華電影聯合股[イ分]有限公司・大日本映画株式会社共同制作
 35㎜白黒スタンダード
 日本語字幕スーパー
 65分(第1巻欠落)
 中国語題:春江遺恨
 日本語題:狼火は上海に揚る(のろしはしゃんはいにあがる)
 監督:岳楓(ユエ・フォン)、稲垣浩
 脚本:八尋不二
 撮影:黄紹芬(ホァン・シャオフェン)、高橋武則、岡崎宏三
 主演:阪東妻三郎、梅熹(メイ・シー)、李麗華(リー・リーホァ)
    王丹鳳(ワン・タンフォン)、月形龍之介、石黒達也、香川良介
    中村吉松、呂玉★(リュィ・ユィクン)、厳俊(イェン・ヂュィン)
    姜明(ヂァン・ミン)、韓蘭根(ハン・ランゲン)
    殷秀岑(イン・シゥイン)
 ★は「方方」の下に「土」
●上映日時: 5月 31日(土) 午前10:00開場
上映時間:10:30、12:00 (この間、途中入換なし)
●上映会場:文京シビックホール(小ホール)
(文京区役所がある文京シビックセンター2F)
営団地下鉄丸ノ内線・南北線 後楽園駅 直結
都営地下鉄三田線・大江戸線 春日駅 直結
●会 場 費:1000円(会員)、1300円(非会員)
(入会金:500円—同時入会可、有効期間1年)
年間フリーパス(7000円)もあります。
※午後2時から上映する《あの子を探して》とは入れ換え上映・別料金となります。

●上映作品:《あの子を探して》
 1998年広西映画制作所・北京新画面影視発行咨詢有限責任公司制作
 110分
 35mmカラー・ビスタサイズ
 日本語字幕スーパー
 原作:施祥生『天上有个太陽』
 原題:一个都不能少(Not One Less)
 ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作
 監督:張藝謀(チャン・イーモゥ)
 脚本:施祥生(シー・シャンシェン)
 撮影:侯咏(ホゥ・ヨン)
 音楽:三宝(サンパオ)
 主演:魏敏芝(ウェイ・ミンヂ)、張慧科(チャン・ホィク)
    田正達(ティェン・ヂェンダー)、高恩滿(ガオ・エンマン)
上映作品:《「あの子を探して」ができるまで》(ドキュメンタリー映画)
    2002年ドラゴン・フィルム制作
    35mmカラー・スタンダード
    60分
    日本語字幕スーパー
●上映日時: 5月 31日(土) 午後1:30開場
あの子を探して        (2:00、5:30)
「あの子を探して」ができるまで(4:10、7:40)
(途中入換なし、連続上映)
●上映場所:文京シビックホール(小ホール)
(文京区役所がある文京シビックセンター2F)
営団地下鉄丸ノ内線・南北線 後楽園駅 直結
都営地下鉄三田線・大江戸線 春日駅 直結
JR中央線 水道橋駅 徒歩8分
●会 場 費:1400円(会員)、1700円(非会員)
(入会金:500円—同時入会可、有効期間1年)
年間フリーパス(7000円)もあります。
※午前10時半から上映する《狼火は上海に揚る》とは入れ換え上映・別料金とな
 ります。

【狼火は上海に揚る—ものがたり】
時は幕末。尊皇攘夷思想を掲げる長洲の志士・高杉晋作(阪東妻三郎)は江戸幕府が派遣した視察団の一員として上海を訪れた。当時の中国は清朝末期であり、列強からの侵略に苦しんでいた時期である。上海には阿片戦争後に押し寄せた列強の租界があり、中国人は自分の土地で小さくなっていた。折しも中国では清朝の腐敗から民衆を救おうと太平天国の乱が起こり、世の中が乱れようとしていた。
 高杉晋作は彼の地で太平天国軍の武将・陳翼周(梅熹)と知り合い、その危機を救った。そして、列強に支配される中国の現状と列強の野望を身をもって知った高杉は列強への抵抗の意志を胸に帰国するのだった。

【狼火は上海に揚る—かいせつ】
本作は、大日本映画(略称:大映、現在の角川大映)と上海にあった中華電影聯合股[イ分]有限公司(略称:華影)が共同制作した日中合作映画である。制作された1944年は日本は太平洋戦争の最中であり、本作の内容も米英への敵愾心を煽るような内容になっている。中国側の華影は川喜多長政が副董事長を務め、日本の影響が非常に強い映画会社であったが、日本側の締め付けは比較的強くなく、戦中の上海にあって多数の名作を生んだ会社である。
本作のプリントは戦乱で失われたものと思われていたが、ソ連軍により中国東北部(旧満州)で接収され、モスクワのフィルムセンターに収蔵されていた。先年見つかり、幻となってから50数年ぶりに里帰りした貴重な作品であるが、残念なことに第1巻は失われている。しかし、ストーリー展開に問題はない。
日本側の阪東妻三郎らの説明は不要だろうが、共演の梅熹、李麗華、王丹鳳なども当時の大スターであり、中国側の力の入れようが分かろうというものである。中国側の3人は戦後、香港と大陸に分かれたものの、長らく映画界を引っ張っていった人物たちでもある。

【あの子を探して—ものがたり】
ここは貧困地区にある水泉小学校。高(ガオ)先生は母親が重病で実家に帰らねばならなくなった。村長は隣村から魏敏芝(ウェイ・ミンヂ)を連れて来て1ヶ月50元で代用教員を頼むことにした。高先生は魏敏芝を見てびっくり。彼女はまだ13歳。授業ができるような学歴もない。しかし、そんなことに村長はお構いなし。「1人探すんだって大変だったんだ、1ヶ月だけなら何とかなるだろう」と。
学校にはもともと40人の生徒がいたのだが徐々にいなくなり、いまは僅か28人が残るのみ。目先の金稼ぎに走った結果だった。高先生は離れるときに彼女に言い聞かせた。『生徒をよく見ておけ、1人も欠けちゃダメだ、欠けなければもう10元やる』と。
魏敏芝は生徒の人数が心配で村長の話も耳に入らない。授業の能力もない魏敏芝に生徒たちは落ち着きがなく、教室は混乱していた。そんなある日、一番のやんちゃ坊主の張慧科(チャン・ホィク)が学校に来なくなった。僅か10歳の彼の家は貧しく、仕方なく街へ出稼ぎに行ったのだった。彼女は高先生の言葉を思い出し、張慧科を探しに行く決心をした。
街までのバスに乗る金もない魏敏芝は生徒たちから金をかき集めた。全く足りなかった。そこでレンガ運びのアルバイトをしてお金を工面した。計算するとバス代には十分で、いくらか余る。そのお金でジュースを買い、魏敏芝と生徒たちは分け合って飲んだ。初めての甘い飲み物だった。
街へ向かおうとした魏敏芝。しかし、バス代は値上がりしていた。お金がないと乗せてもらえない。どさくさに紛れて乗り込んだものの見つかってしまい、途中で降ろされてしまった。あとは歩くしかなかった。
ようやく街に到着したものの右も左も分からない魏敏芝。途方に暮れているとき、彼女は1枚の貼り紙を見つけた。この方法に倣い、大量の紙に張慧科を探していると書き始めた。それを見た人が言った。「連絡先も書いてないじゃないか、これじゃダメだ」。でも、その人は教えてくれた。「テレビなら何とかなるかも知れない」と。
テレビ局に来た魏敏芝。しかし、門番の女性は証明書や紹介状がないと絶対にダメだと中に入れてくれない。仕方なく彼女は門の前に立ち、テレビ局長を探し始めた。男性全員に「局長ですか」と尋ねる魏敏芝。どれだけの人に尋ねただろうか。すべては徒労に終わろうとしていた。夜になり、疲れ果てた魏敏芝は電柱にもたれたまま街頭で眠り込んだ。抱えていた大事な貼り紙は風に舞い、ゴミとして片づけられてしまった。
魏敏芝は翌朝もテレビ局の前で尋ね回る。その姿は局員の目にも奇異に映り、ついにその話が局長の耳に届いた。事情を聞かれ、テレビの特別番組に出演した魏敏芝。緊張のあまりほとんど喋れない彼女をなだめ、キャスターの女性がカメラを張慧科だと思って喋るように促した。ついに彼女は目に涙をいっぱい浮かべながら喋り出した。「張慧科、早く帰ってきて!」
果たして張慧科は見つかるのだろうか…。そして、そのあとには感動のラストが!

【あの子を探して—かいせつ】
張藝謀監督が貧困地区に光を当て新境地を切り開いた感動作である。出演者は全員が素人で、本名での出演である。子供たちを暖かく描いた本作は中国国内で絶賛され、貧困地区の小学校を支援する“希望行程”に多くの寄付金が集まった。ベネチア国際映画祭で《秋菊の物語》に引き続き金獅子賞を受賞したことは一種の奇跡だと賞賛されている。

【「あの子を探して」ができるまで】
この作品は《あの子を探して》のメイキング作品で、同時に見ることで《あの子を探して》をよく理解できるようになっている。今回の上映は日本最初の同時上映である。

★★★今後の上映予定★★★

 5月31日(土) 10:30〜 《狼火は上海に揚がる》(主演:梅熹)
          12:00〜 《狼火は上海に揚がる》(主演:阪東妻三郎)
          14:00〜 《あの子を探して》(監督:張藝謀)
          16:10〜 《「あの子を探して」ができるまで》
          17:30〜 《あの子を探して》(監督:張藝謀)
          19:40〜 《「あの子を探して」ができるまで》
 6月14日(土) 18:55〜 《北京の想い出》(監督:呉貽弓)
 7月19日(土) 18:55〜 《王様の漢方》(監督:牛波、主演:朱旭)
 8月29日(金) 18:55〜 上映作品未定(1作品上映)
 8月30日(土) 10:00〜 上映作品未定(4〜5作品上映)
 8月31日(日) 10:00〜 上映作品未定(4〜5作品上映)
 9月26日(金) 18:55〜 上映作品未定(1作品上映)
10月11日(土) 10:00〜 上映作品未定(2〜3作品上映)
11月 1日(土) 18:55〜 上映作品未定(1作品上映)
11月29日(土) 18:55〜 上映作品未定(1作品上映)

上映会場はすべて文京シビックホール(小ホール)になります。
文京シビックホール(文京シビックセンター)の地図は次のアドレスをご覧下さい。
http://www.parkcity.ne.jp/~gentyuei/civic.htm
これ以外にもビデオ上映会を計画しています。

現代中国映画上映会 gentyuei@parkcity.ne.jp
http://www.parkcity.ne.jp/~gentyuei/